2021年(令和3年度)9月16日定例県議会議事録

福羅浩一 一般質問、インターネット録画中継
問1 子どもの相談活動の状況と今後の体制の充実はどうか。また、子どもの居場所づくりに向け、どう取り組むのか。
【教育長答弁】
 1年半に及ぶコロナ禍により、学校内外で活動制限が長期化し子供たちの心身にも少なからぬ影響が生じている中、学校では、学級担任はもとよりスクールカウンセラー等専門職による子供たちの見守りを強化し、昨年度は、開校日が少なかった中で前年を上回る4万件余りの相談に対応したほか、全ての中高生を対象に開設したSNS相談でも、友人関係や心身の健康、学業・進路など幅広い内容について、年間600件を超える相談を受けている。
 こうした中、コロナ禍の収束が見通せないままに2度目の進学・就職シーズンを迎えるに当たり、県教委では、子供たちの不安や疲労の蓄積を考慮し、例年相談件数が増加する11月から1月の3か月間は、SNS相談の開設日を週2日から毎日に拡充し、問題が深刻化する前に気軽に相談できるよう体制強化を図りたいと考えている。
 また、子供たちの生活に潤いを与え、学びの機会を提供してきた放課後子ども教室や地域イベントも、コロナ禍による縮小が長期化していることから、子供たちの居場所づくりや体験交流活動を行う市町への支援を拡大することとし、必要な経費を9月補正予算案に計上しており、今後とも、子供たちが健やかに育つ環境づくりに取り組んで参りたい。

問2 島しょ部や中山間地域における小規模校の存続について、どのような方針で取り組んでいくのか。
【教育長答弁】
 本県の小規模校は、地域と連携した課題解決型学習を積極的に推進しており、今治・越智地区島しょ部の3校においても、島の企業の活動を研究する一環で海外研修も行う伯方グローカルプロジェクト、地域資源の磨き上げとPRを実践する大三島魅力化プロジェクト、島での仕事づくりに挑戦する弓削高校の起業家教育など、少人数ならではの顔の見える関係を活かし、自治体や地域住民の支援を得ながら、地域に根差した学びに主体的に取り組んでいる。
 一方で、少子化が進み、現行のままでは地域内で複数の小規模校が共倒れとなる事態も危惧される中、検討委員会の中間報告では、地域活性化の核としての学校の役割が再認識され、市町内唯一の学校や島しょ部の学校への特例措置、地域資源を生かした学科・コースの新設等による魅力化の推進などが提言されているところ。
 県教委としても、通学環境が劣る島しょ部や、地域から存続のための支援を受け成果が認められる学校については、一定の配慮が必要と考えているが、一方で、最も大切なことは「学校の存続」ありきではなく、「生徒により良い教育環境を提供する」ことにあり、それを第一義とした生徒本位の計画づくりを進めることとしており、今後とも、圏域ごとの地域協議会を通じ、地域の声をくみ取りつつ、生徒に選ばれる魅力ある学校づくりに取り組んで参りたい。

問3 えひめ地域政策研究センターのこれまでの実績と今後の取組みはどうか。
【企画振興部長答弁】
 えひめ地域政策研究センターは、地域づくりを主導する官民連携の要として、これまで、調査研究や提言、地域に根差した集落対策、地域づくり活動支援など、幅広い事業展開で地域活性化に貢献するとともに、市町や企業からこれまでに78人の研究員を受け入れるなど、人材育成や人的ネットワーク構築にも重要な役割を果たしてきた。
 特に近年は、喫緊の課題である人口減少に対応するため、これまでに培った市町や民間との連携をフル活用し、オンライン移住フェアの開催や、移住コンシェルジュによる丁寧な移住相談など、積極的な移住促進策を実施し、昨年度の移住者数は過去最高の2,460人となっている。
更に、南予地域への移住促進のため、今年4月に、内子町のコワーキングスペースに移住マネージャーを配置し、南予市町とも連携して受入態勢の強化を進めている。
 今後は、ますます激化する地域間競争を勝ち抜くため、本県の地域政策を主導する同センターと、地域活動の最前線に立つ市町や関係団体等との連携を一層深化させるとともに、センターとの協働のもと、移住先として選ばれる地域づくりや、交流人口・関係人口も取り込んだ担い手育成など、足下の地域課題に特化した取組みを重点的に展開して参りたい。

問4 アフターコロナを見据えて、しまなみ地域への誘客促進にどう取り組んでいくのか。
【知事答弁】
 国内外から今では、年間30万人を超えるサイクリストが訪れるしまなみ海道は、コロナ禍でのアウトドア志向の高まり等を追い風に、更なる来訪者の増加が期待されており、今後、本県側の魅力的な地域資源とも連携させながら、県内への一層の誘客促進を図る仕掛けづくりが極めて重要となってきている。
 このため県では、昨年度、来島海峡大橋の魅力向上に向けた愛称「クラウンブリッジ」の命名や、いわゆるインスタ映えするモニュメントの設置等に加え、外部専門家の助言等を踏まえた、架橋の桁外作業車体験やヨットクルーズ、無人島キャンプ等の新たな体験型コンテンツの掘り起こしのほか、宿泊施設向けの外国人対応講座の開催、住民のおもてなし活動への支援など、インバウンドにも訴求できる滞在型旅行商品の造成や受入態勢の強化に取り組んでいるところである。
 更に本年度は、しまなみツーリズムの多彩な魅力を伝える動画を作成し、コロナ感染状況を注視しながら、SNSでの広告配信やOTAサイトでの販売促進キャンペーンの準備を進めるとともに、新たに、ウインタースポーツが盛んな北海道の事業者と、季節毎にインバウンドを誘致し合う取組みについての協議も行っている。
 今後とも、地元の自治体や観光事業者、住民団体等と連携しながら、しまなみ地域が、国内外から多くの旅行者が訪れ、リピーターとなる滞在型観光エリアへと飛躍できるよう、鋭意取り組んで参りたい。

問5 本県産業のDXの推進に必要不可欠となる人材の確保・育成に、今後どのように取り組んでいくのか。
【知事答弁】
 生産年齢人口の減少や新型コロナの影響による企業を取り巻く環境が大きく変化する中、県内企業が経営力の強化を図っていくためには、デジタル技術を駆使し、製品・サービスやビジネスモデル、組織体制等を変革して、競争上の優位を確立する、いわゆるDXの推進が急務であり、経営層の意識改革はもとより、企業が求めるより実践的なIT人材を確保・育成していくことが不可欠と考えている。
 このため、県では、県内企業の技術者を対象にソフトウェア開発等に関する研修を実施し、平成30年度からの3年間で高度IT人材を200人以上育成してきた。これに加え、更なる産業分野のDXを進めていくため、企業の意思決定の鍵を握る経営層向けの意識改革セミナーや、豊富な知見を有する大学等との連携による、社内人材向けのデータ利活用啓発セミナーを実施するほか、IT人材と企業ニーズのマッチングを図り、専門家のコーディネートの下で実践的なインターンシップとフォローアップ研修を一体的に行うための経費を今回の補正予算案に計上したところ。
 今後とも、県内企業がDXを進めることで、既存の業務プロセスの変革や新たなビジネスモデルの創出により、経営課題を解決し、産業競争力の強化を実現できるよう、産学官が一体となって、高度IT人材を始め、産業分野のDX推進に必要な様々なレベルの人材の確保・育成に積極的に取り組んで参りたい。

問6 今後どのような方針で徴収確保対策に取り組んでいくのか。
【総務部長答弁】
 教育や医療・福祉などの県民サービスを支える自主財源である県税収入の安定確保に向け、県では、毎年度「徴収確保対策本部」を開催し、具体的な数値目標を設定した基本方針を策定するとともに、消費行動の変化に対応し、スマホ決済アプリなどキャッシュレス納付の導入を図り、利便性向上による自主納付促進と、特別滞納整理班による効果的・効率的な滞納整理を積極的に推進してきた。
 令和2年度については、新型コロナによる県税への影響が懸念されたものの、滞納繰越額の約7割を占める個人県民税の事業主による特別徴収の働きかけや税務職員の相互併任制度の全市町への拡大など現場の努力の結果、徴収率は99.21%と前年度を若干下回ったものの2年連続で全国1位となることができた。
 今後とも、今年度新たに5か年の数値目標として設定した徴収率等の達成に向け、納税者の置かれた状況に十分配慮しつつも、税負担の公平性の観点から、公正かつ厳格な滞納処分を行うとともに、税務署や市町と連携して、納税意識の向上への取組みの強化を図り、貴重な自主財源である県税収入の確保と県民に信頼される税務行政の確立に向け、職員が一体となって徴収確保対策に全力で取り組んで参りたい。

問7 県管理道路における防災対策の現状はどうか。また、今後どのように取り組んでいくのか。
【土木部長答弁】
 県では、近年の激甚化・頻発化する豪雨や南海トラフ地震等の自然災害に備え、「安全で信頼性の高い道路網」を確保するため、トンネル保全対策、橋りょう耐震補強及び法面対策など、事前の防災対策に積極的に取り組んでおり、なかでも、災害時の避難・救援活動を支える緊急輸送道路の対策を重点的に進めているところ。
 具体的には、これまで県管理道路の防災点検で対策が必要とされた2,588箇所について、昨年度末までに 1,766箇所が完了し、進捗率は68%となっている。このうち緊急輸送道路では、1,015箇所のうち913箇所が完了し進捗率が90%に達し、トンネル保全対策や橋りょう耐震補強が概ね完了するなど、重点化の成果が表れている。
 引き続き、緊急輸送道路の防災対策の早期完了を目指し、今回の補正予算案に関連事業費を計上するとともに、国の「5か年加速化対策」も最大限活用して着実に道路網の安全性を向上させるほか、大規模災害時に速やかに通行できるよう、国や業界団体と合同で道路啓開の訓練を実施するなど、ハード・ソフトの両面から、県民の安全・安心につながる道路の防災対策の推進に全力で取り組んでまいりたい。

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