2010年(平成21年度)9月24日定例県議会議事録

1 しまなみ海道の通行料金体系はどうあるべきと考え、その実現に、今後どのように取り組んでいくのか。

(知 事)
しまなみ海道の通行料金については、膨大な建設費が投入されたため、従来から他の高速道路に比べ極めて割高であり、かつ関係する自治体が多額の負担を強いられている。なんとかならないかという気持ちを、おそらく関係自治体全てが持ってきたと思われる。
高速道路料金における地域間格差を解消して、地域活性化と物流の効率化を図るためには、少なくとも一般高速道路と同等の料金体系とする必要があると考える。 そうした中、今年の四月に公表された上限料金制は、本四道路のみに割高な別料金が設定され、しかもこれまでの各種割引制度が廃止されるという内容であり、遠距離通行における地域間格差は全く解消されず、近距離通行も結果として実質値上げとなるなど、非常に問題がある案であり、見直すべき必要がある。 五月には、本県の重要要望として、事情を同じくする広島県と連携し、島内の住民割引や自転車等の無料化を強く要望している。今後も料金見直しに係る国の動向を注視しながら、機会あるごとに他県とも連携し、国等に対して強く働きかけていく。

 

2 森林整備対策について

(1)愛媛の森林基金による放置森林の間伐等の事業について、実績と今後の取組みはどうか。

(農林水産部長)
「財団法人愛媛の森林基金」が実施をしている放置森林対策では、水土保全機能を高度に発揮することが望まれる森林を対象に、平成十四年度から十か年で4,800haの間伐を目標に森林整備を行っており、これまでの八年間に計画の七十一%に当たる3,396haを実施した。今後二年間で残りの1,404haを実施する計画である。 当事業の終了後も、水土保全機能を高めるための整備が今後とも重要であり、ダム等上流の奥地水源林地域で放置された森林も存在することから、これまで進めてきた間伐の効果等も見極めながら、事業の継続等について検討していきたい。

(2)今後、里山の整備にどのように取り組んでいくのか。

(農林水産部長)
良好な景観の形成や生物多様性の確保、災害の防止などの面から、里山の保全に対する必要性が高まっている。県では、造林補助事業により植栽に対して助成を行うほか、森林そ生緊急対策事業を活用して侵入する竹や松くい虫被害を受けた松の木の除去等にも必要な助成を行っている。 また、森林環境税を活用して、里山の防災機能を高め、山地災害を防止する観点から集落周辺森林の整備を行う一方、公募事業として県民自らが実施する森林づくり活動に対する支援も行っている。 今後とも、地域住民の意向を踏まえながら、各種事業を活用し、県民と一体となって、日本の原風景ともいえる里山の整備や保全に努めて参りたい。

(3)放置竹林整備について、今後どう取り組んでいくのか。

(農林水産部長)
竹は短期間で再生可能な資源として有用であることから、本県では、平成十六年度に竹資源循環利用促進の具体的な行動計画を策定し、竹資源の有効活用と竹林整備の両面から放置竹林対策に取り組んでいる。 竹資源の有効活用では、リサイクル企業が開発をした有機肥料の原料等として、今年度から竹材を供給する取組みへの助成を開始するなど、民間における竹資源の多面的な利用を支援している。 また、竹林整備では、所有者が竹林を伐採し、広葉樹等への転換を図る取組みに対して助成を行うほか、緊急雇用や森林そ生緊急対策事業を活用し、放置竹林や侵入竹の伐採・整理を行っている。 さらに、ボランティア団体が行う竹林整備にも、森林環境税を活用して支援をしており、これらの事業により、昨年度は約59haの竹林整備を図った。 今後とも、森林組合など関係団体はもとより、広く県民との協働を進めながら、活用と整備の両面で放置竹林対策を推進して参りたい。

 

3 外来魚対策について

(1)外来魚が原因と思われる内水面における漁業被害と駆除活動の状況はどうか。

(農林水産部長)
全国の河川、湖、沼では、外来魚の侵入・増殖により、在来魚が漁業被害を受けるなど、水産資源への悪影響が懸念されており、本県においても主要な河川に外来魚が生息し、放流したアユやアマゴが食べられるといった食害の被害が報告されている。 また、水産研究センターが野村ダム湖とその周辺河川で実施した調査では、ブラックバスがフナやハゼ等の小魚を好んで捕食し、特に四月から五月にかけては、上流に遡る天然のアユを捕食していることが確認をされており、将来、アユ資源の減少につながることも危惧されている。 このため、愛媛県内水面漁業協同組合連合会では、外来魚による漁業被害の軽減を目的に、平成二十一年度から国の補助事業を活用して、刺し網や釣りによる駆除を行っているほか、遊漁者に対しては、釣り上げた外来魚を再放流しないよう呼びかけているところであり、県としても、引き続き国の制度を活用しながら、効果的な駆除活動ができるよう支援して参りたい。

(2)外来魚をはじめとする外来種の影響を正しく理解してもらうため、県民に対する啓発にどのように取り組むのか。

(県民環境部長)
 県では、昨年四月に、本県の野生動植物の生息・生育に著しい影響を与えるか、与える恐れのある八十八種について、「侵略的外来生物」として公表するとともに、今年三月には、ブラックバスやブルーギルなど特に注意が必要な外来生物の特徴等を記載した「外来生物対策マニュアル」を作成した。 また、今年五月に松山で開催された生物多様性キャラバンセミナーにおいて、外来生物の防除法などについての研修を行い、さらに、県のホームページを活用して、県内の外来生物などに関する情報を広く募り、県民意識の向上を図ることとしている。 今後とも、県民の主体的な参画を促しながら、外来生物による生態系や人の健康、農林水産業への影響などを周知するとともに、被害を防止するための「入れない」「捨てない」「拡げない」という三原則について遵守を徹底させるなど、県民への理解が一層深まるよう積極的に啓発して参りたい。

 

4 県庁第一別館と本館等の耐震化について、今後どう取り組むのか。

(知 事)
第一別館は、災害対策本部が設置されている防災対策上重要な拠点施設であり、また、ライフラインの確保や県民生活に直結する事業部門を集中配置していることから、早急な耐震化が必要である。 このため県では、平成十三年度に耐震診断、平成十九年度には耐震補強の工法や必要経費の概算等について調査を行い、これを基に、耐震安全性や改修コスト、県民サービスへの影響などについて、総合的に検討を行い、最も耐震安全性に優れ、工事中も執務室の移転が不要な「免震工法」により耐震改修工事を実施することとしている。 厳しい財政状況の中、国の交付金を有効に活用し、今回の補正予算で工事着手に必要な実施設計を行い、平成二十四年度には防災拠点となる第一別館の改修工事に着手したいと考えている。 また、本館、第二別館、議事堂については、昨年度実施した耐震診断の結果、全ての庁舎に一部耐震強度が不足する部分はあるが、いずれの庁舎も補強工事により継続使用は可能となっていることから、今後、診断結果をさらに精査し、県立学校をはじめとした県有施設全体の中での優先順位や財源の確保などの課題も踏まえつつ、耐震化に向けた検討準備を鋭意進めて参りたい。

 

5 岩城橋の着工に向けて、今後どう取り組んでいくのか。

(土木部長)
岩城橋を含む上島架橋については、平成八年三月に開通した弓削大橋に続き、生名橋についても供用開始の日が目前にきている状況となっており、上島町民の日常生活の利便性の飛躍的向上や、合併後の行政の効率化、さらに地域の活性化のためにも、県としても残る岩城橋の建設は必要不可欠であると認識している。 ただ、現在、国、県ともに厳しい財政状況にあり、また、補助金の一括交付金化を含め、公共事業に対する国の方針も明らかになっていないことから、着手時期については、今後の国の動向や県の財政状況等を見極めながら検討していく必要があると考えている。 県としては、上島架橋は三橋が建設されて初めて本来の効果が発揮されるものであると考えており、当面、生名橋の完成後も上島架橋事業が途切れることのないよう、生名島や岩城島内の現道の改良事業を推進するとともに、国に対しても、岩城橋の早期着手に向けて地理的に不利な離島の事業費等別枠的予算を従来どおり確保することなど、引き続き強く要望して参りたい。




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