1 東日本大震災を踏まえた本県の防災対策について
(1) 災害ボランティアの受入体制を今後どのように整備していくのか。
(保健福祉部長)
災害ボランティアは、被災地の支援に大きな役割を果たしているが、その活動が効果的に行われるためには、ボランティアの受入体制を迅速に立ち上げ、円滑に運営できるよう、平常時から被災時の初動体制を確立しておく必要がある。 本県においては、平成7年の阪神・淡路大震災を契機として、被災時に機動的に、県及び市町社会福祉協議会に災害ボランティアセンターを設置し、県内外からのボランティアを円滑に受け入れる仕組みを構築するとともに、平成16年の豪雨災害を教訓に、センター立上げ時の初期費用を支援する災害ボランティアファンドの創設、ボランティアと被災者ニーズを結びつけるコーディネーターの養成、関係機関・団体等の連絡調整や情報交換を行う「災害ボランティアネットワーク会議」の設置など、センター機能の拡充・強化を図ってきたところである。 しかしながら、今回の震災では、自治体そのものが壊滅的な被害を受け、災害ボランティアセンターが十分に機能しなかったとの報告もあることから、今後、本県から被災地に派遣されたボランティアやコーディネーター等の意見も参考に、改めて問題点等を検証したうえで、ボランティアの力が存分に発揮できる受入体制の確立・強化に努めて参りたい。
(2)大津波にも対応できる避難所や避難計画の見直しにどう取り組んでいくのか。
(県民環境部長)
東日本大震災において、避難路や避難経路等の違いが被災者の生死を分けたとの報道がなされており、津波から人命を守るためには、迅速な避難と安全な避難所の確保が大切であると認識している。 南海地震が発生した際、大きな津波被害が心配されている宇和海沿岸地域では、既に避難所を指定するとともに、避難対象地域や避難経路、避難勧告基準などを定めているが、今回の東日本大震災を踏まえると、県内全域にわたって点検、見直しを行う必要があるのではないかと考えている。 そのため、県としては、専門家を加えた検討会を設置して、宇和海沿岸において避難所等の実地検証を行い、課題の洗い出しや必要な対策を検討するとともに、その結果を、成果報告会を行うなどして、広く県内全域に波及させ、避難所や避難計画の見直しにつなげて参りたい。
2 防災においても必要である岩城橋の着工に向け、今後どう取り組んでいくのか。
(知 事)
本年2月に開通した生名橋の自動車交通量は、当初予想していた約500台を大きく上回る、1日当たり約1,050台、また、弓削大橋が開通前と比べて約700台増加の約1,600台となるなど、早速、架橋効果が表れており、県としても大変うれしく思っている。 残る岩城橋の建設は、上島町の地域活性化や行政効率化を推進するために必要であり、また、議員ご指摘のとおり、上島架橋は、東日本大震災のような大災害時には、一刻を争う救急活動や町内4島の相互支援のためにも不可欠な道路であると考えている。 このため、今年度から、県単独調査費で、岩城橋の地質調査や予備設計などの基礎調査に着手したところであり、早ければ来年度中には、補助事業化の前提となる橋の形式や規模などを決定できるよう、着実に進めていきたいと思っている。 なお、厳しい財政状況に加え、震災復興など、先行きが不透明な状況が続くため、岩城橋着工の前提ともなる離島事業の別枠的予算の確保について、国に対し、今後も引き続き、あらゆる機会をとらえて強く要望して参りたい。
3 しまなみ海道について
(1)島民割引の導入についてどう考え、どう取り組んでいくのか。
(土木部長)
しまなみ海道を含む本四道路の通行料金については、従来から他の高速道路に比べ極めて割高に設定されていることから、これまで機会あるごとに国等に対して、料金引下げを強く働きかけてきたところである。 特に、しまなみ海道については、議員ご指摘のとおり、沿線島内住民にとって、重要な生活道路になっていることから、国への重要要望や広島・愛媛交流会議のアピ-ル等において、沿線島内住民に対し通行料金を割り引く支援措置を講ずるよう求めてきたところである。 しかしながら、6月19日を以って「休日上限千円」が廃止となる中、今のところ、各種時間帯割引は継続されることとなっているが、今後、これら時間帯割引も廃止されることになれば、沿線島内住民の日常生活に大きな影響が生じるものと考えている。 このため、県としては、今後の高速道路施策に関する国の動向も注視しながら、広島県等とも連携し、まずは、時間帯割引を堅持するとともに、競合する公共交通機関への配慮と併せて、引き続き沿線島内住民への料金割引支援を強く訴えて参りたい。
(2)休日上限1,000円の終了に伴う沿線地域の観光客の減少に対し、今後どう取り組むのか。
(経済労働部長)
議員お話のとおり、高速道路の休日上限制度は、しまなみ海道沿線地域の観光振興に大きく寄与してきたことから、今回の同制度の終了に伴う入込客の落ち込みが懸念されるところである。 このような中、本年3月に策定した県観光振興基本計画では、高速道路料金など交通利用環境の変化も見据えたうえで、情報発信力の強化や広域連携の推進、魅力ある観光資源の開発等に努めることとしており、現在、テーマ性のある広域観光ルートづくりや体験型観光を組み入れた旅行商品の造成、修学旅行誘致等に積極的に取り組んでいるところである。 また、しまなみ海道沿線地域を観光振興の重要ゾーンと位置付け、サイクリングやウォーキングのイベント開催をはじめ、多島美を満喫できる”しまなみの船旅”やグリーンツーリズムを促進するとともに、将来的には、しまなみ海道を中心に「大・島博覧会」を開催したいと考えており、現在、広島県や地元市町と協議を始めたところである。 引き続き、休日上限制度終了後の沿線地域の観光客への影響を最小限に止めるべく、国内外からの誘客促進に積極的に取り組んでまいりたい。
4 地域医療について
(1)新しい地域医療再生計画の内容と、計画の具体化に向けた取組みはどうか。
(知 事)
新たな地域医療再生計画は、県全体の広域的な医療提供体制の整備拡充を図るもので、本県においては、医療関係者・市町などへの提案募集や県保健医療対策協議会での審議、パブリックコメント等を経て計画の取りまとめを行い、6月10日に国へ提出したところ。 計画では、全県的な医療課題を踏まえて5本の施策の柱を設定し、19事業を盛り込んでおり、具体的には、三次救急病院の機能強化を最重要課題と位置付け、県内3箇所の救命救急センターの設備整備等に基金を重点配分するとともに、県議会の総意で制定された「がん対策推進条例」に沿って、在宅緩和ケアの充実や患者家族への支援の強化を図るほか、医療圏単位の診療ネットワークの構築にも取り組むこととしている。 また、地域医療を支える人材を育成・確保するため、県医師会や看護協会などとの連携・協力のもと、医師不足の医療機関に対する医師派遣システムの構築や看護職員の資質向上等に取り組むこととしている。 さらに、今回の東日本大震災において重要性が再認識された災害医療体制の強化についても、東南海・南海地震等を想定した災害拠点病院や災害派遣医療チームの機能強化に必要な設備等の整備を盛り込んでいるところ。 今後は、スケジュール的には、国の有識者会議の審査を経て、9月上旬頃に交付決定が行われ、年度後半から、順次、事業に着手する予定であるが、県保健医療対策協議会において適宜事業評価を実施することにより計画の効果的な推進を図り、誰もが安心して医療を受けることのできる社会づくりに努めてまいりたい。
(2)へき地医療の支援対策にどのように取り組んでいるのか。
(保健福祉部長)
交通条件に恵まれない中山間地域や数多くの離島を抱える本県にとって、へき地医療は、医療政策上の重要な課題であり、県では、へき地診療所に対し、自治医科大学卒業医師の配置をはじめ、運営費や医療機器整備への補助など、各種支援に取り組んでいる。 また、へき地医療支援機構を設置して、へき地医療拠点病院である県内11か所の主要公立病院からへき地診療所へ代診医を派遣するなど、へき地医療を広域的に支援していく体制の確保に努めている。さらに、へき地での救急搬送に対応するため消防防災ヘリのドクターヘリ的運用を行っているほか、島しょ部の巡回診療船済生丸に対して、運営費補助に加え、近く予定される新船の建造に当っても助成を行うことを検討している。しかしながら、全国的な医師の不足や地域偏在により、へき地医療拠点病院でも医師不足が深刻化し、支援機能が低下していることから、医学生向け奨学金制度やドクターバンク事業、ドクタープール制度等を通じて、医師確保対策の強化を図っており、今後とも、これら施策を総合的に推進し、県民が等しく必要な医療を受けられる体制の維持確保に努めて参りたい。
5 県地域新エネルギービジョンにおける導入目標の達成状況はどうか。また今後、新エネルギーの普及にどう取り組んでいくのか。
(経済労働部長)
新エネルギーについては、地球環境の保全やエネルギー源の多様化、さらには低炭素関連産業の育成などの観点から利用を推進する必要があることから、県としては、これまでも武道館や県立高校への太陽光パネルの設置、ミカンの搾汁残渣を利用するバイオ燃料や木質ペレットなどのバイオマスエネルギーの活用、新エネルギー教室等による普及啓発などに取り組んできたところである。 こうした中で、平成14年に策定した「愛媛県地域新エネルギービジョン」の目標年次である2010年度の導入実績は、目標値の原油換算18.4万キロリットルに対し、実績が20.6万キロリットルで、達成率は112%と目標を上回っているが、エネルギーの種別でみると、風力発電やバイオマスの導入が大幅に進んだものの、太陽光や太陽熱利用は目標に達していない状況にある。 このため、先般、国に対し、新たなエネルギー政策の早期提示と併せて、新エネ導入促進のための支援策の拡充を強く要望したところであり、今後国の動向等も踏まえながら、県として、新たな導入目標等を盛り込んだエネルギービジョンを策定し、新エネルギーの普及に努めて参りたい。