2015年(平成27年度)9月18日定例県議会議事録

問1 海上技術安全研究所の一部機能誘致に必要な条件をどう把握し、それに対しどう取り組むのか。また、今治市、企業等との連携や協力への取組みはどうか。

【知事】

 世界トップレベルの研究開発能力を有する「海上技術安全研究所」の今治市への一部機能の移転は、地元の造船業界にとって、先進的な造船関連技術の開発や建造の迅速化、国際競争力の強化などの面で多大な効果が期待されるとともに、関連産業全般の高付加価値化や地域の雇用拡大にもつながるものであり、「日本最大の海事都市」今治の特性と強みを活かした全国に誇れる地方創生のモデルケースになり得ると自負しているところ。
 「海技研」誘致の条件の詳細については、現時点で明らかになっていないが、県としては、まずは、国の意向を踏まえつつ、今治市と連携しながら、250mの曳航水槽や研究施設が立地可能な用地、職員の居住施設の選定を進めるとともに、国の研究機関としての機能を確保する観点から、地元造船業をはじめとした海事産業や周辺の大学等との産学官連携による、人材や設備面での研究環境の整備、地域産業への研究成果等を波及させる仕組みなどについて、具体的な検討を行いたいと考えている。
 「海技研」の一部移転の実現に向けては、今後、様々な条件が示されることが想定されるが、今治市や地元産業界等と密接に連携して、課題を一つずつクリアし、県選出国会議員の協力もいただきながら、移転の意義・メリットと地元の熱意を丁寧に訴えて参りたいと考えているので、県議会議員の皆様にも御理解と御支援をお願いしたい。


問2 今治工業高校への造船コース新設に当たっての教育環境整備や学習内容はどうか。また、地域や地元企業との連携にどのように取り組むのか。

【教育長】

 今治工業高校における造船コースの新設に当たっては、大学等の専門家や地元の造船業界の関係者から幅広く意見をお聞きするとともに、造船教育を行っている他県の県立高校を訪問して、学科の内容や設備状況を確認するなど、準備を進めてきたところ。
 こうした調査を踏まえて、造船教育実施に向けた環境整備としては、地方創生交付金も活用しつつ、校内に新たに、船舶模型製作等を行う実習棟や3次元コンピュータ製図システムを整備するとともに、担当教職員を養成するため、地域の造船会社や県外の高校での派遣研修を予定している。
 学習内容については、船の設計や建造に関する基礎的な知識に加え、鋼板を曲げる「ぎょう鉄」や溶接など即戦力として役立つ技能も身に付けられるよう検討を行っている。
 また、地域から求められる人材を育成するには、地元企業等との連携が不可欠であることから、「今治地域造船技術センターにおける実習」「地元企業が所有する回流水槽等の施設を活用した実験」「企業の熟練技術者等を招へいして行う実技指導等」により、地域に密着した教育を進め、地元造船業界で活躍できる有為な人材の育成に取り組んで参りたい。


問3 幼児教育について

(1)子ども・子育て支援新制度へ移行した県内の私立幼稚園の数と新制度のメリット、デメリットを含めた県の所見はどうか。

【保健福祉部長】

 私立幼稚園は、子ども・子育て支援新制度の施行前に、休園中の園を除き県内に98園あったが、その34%に当たる33園が新制度へ移行し、そのうち幼稚園のままの移行が14園、認定こども園への移行が19園となっている。
 新制度へ移行すると、施設型給付の対象となることから、国・県・市町からの財政支援が保障され、安定的な施設運営に資するというメリットがある一方で、制度が複雑で事業者の事務負担が増加するなどのデメリットがあると言われている。また、認定こども園に移行すると、保護者の就労状況が変わった場合でも子どもは園を継続利用でき、3歳からは教育・保育を一体的に受けられるため、特に教育・保育資源の少ない過疎地域では、保護者の多様なニーズに応えられるというメリットもある。
 県としては、こうしたメリット、デメリットを踏まえ、新制度への移行の選択は事業者において主体的に行われるものであると考えており、事業者の不安感を解消し適切な選択ができるよう、情報提供や個別相談を通じて、私立幼稚園の支援に取り組み、ひいては保護者の希望する教育・保育環境が確保されるよう努めてまいりたい。


(2)地域格差のない等しく質の高い幼児教育と保育の充実、利用者の希望に沿った提供にどのように取り組んでいくのか。

【保健福祉部長】

 就学前の乳幼児期は、人間形成の基礎が培われる非常に重要な時期であり、その時期に行われる幼児教育と保育の充実を図ることは非常に重要な課題と考えており、県では、「第2期えひめ・未来・子育てプラン」の基本目標の一つに「希望する幼児教育と保育が受けられるえひめ」を新たに掲げて取り組んでいるところ。
 質の高い幼児教育と保育の充実のためには、教育・保育に携わる人材の確保と質の向上を図ることが何よりも重要であり、幼稚園教諭・保育士の階層別研修や低年齢児・障害児など専門的な研修等の充実、地域の子育て支援事業に従事する子育て支援員の養成、また、有資格者の再就職支援などの潜在的人材活用等にも取り組むこととしている。
また、県としては、市町と連携し、多様な利用者ニーズや地域の実情に応じて、教育・保育双方の機会を確保し、病児保育や一時預かりなど多様な子育て支援事業を着実に推進するとともに、個別の子育て家庭のニーズに応じ、希望に沿った教育・保育施設や子育て支援事業を利用できるよう支援する「利用者支援」の取組みも普及させ、地域格差のない質の高いサービスが全県的に提供されるよう努めてまいりたい。


問4 「みきゃん」のゆるキャラグランプリでのグランプリ獲得に向けて、どのように取り組んでいくのか。

【知事】

 みきゃんのグランプリ獲得は、全国的に注目度の高いインターネット投票を通じて、本県の知名度向上や情報発信力の強化が図られるとともに、県民や愛媛ファンの皆さんが自ら投票に参加いただくことで、みきゃんがマスコットを務める「えひめ国体・えひめ大会」の機運醸成や、県産品の販売促進など県内経済活性化に繋がることから、その実現に向けて応援の輪を広げているところ。
これまでのところ、みきゃんは、県内外の企業・団体・学校等で結成された「愛媛&みきゃん応援団」を中心とした強力な声援のお陰で、激しい首位攻防戦を制して、得票数がブラインドされた今月16日までは、なんとか1位をキープしているが、強豪キャラクターの猛烈な追い上げもあり、グランプリ獲得のためには、県民の皆様はもとより、ゆるキャラファンにも広く応援をいただくことが重要と認識している。
このため、県民の皆様に対しては、応援団の協力の下、イベント等での呼びかけに加えて、具体的な投票方法を案内するなど、実際の行動に結び付く活動に重点的に取り組んでおり、今後、夏休み明けの県内大学生や県内企業等へのきめ細かな働きかけを通して、グランプリ獲得に向けての下支えを呼びかけていくこととしている。
一方、全国のゆるキャラファンに向けては、「楽しむ」という視点が欠かせないことから、みきゃんチャレンジビデオのYouTube配信をはじめ、携帯アプリ「みかん人倶楽部」やフェイスブックを活用し、みきゃんへの共感を呼び起こしており、今後一層、全国規模のゆるキャライベントや大都市圏でのイベントにみきゃんが積極的に参加して、新たなファン獲得に取り組みたいと考えている。
これからも私自身が先頭に立って、みきゃんへの応援を呼びかける所存であるが、県民の皆様には、みきゃんサポーターとして、楽しみながらグランプリに参加いただくとともに、こうして結集したパワーをさらに2年後の「えひめ国体・えひめ大会」へと繋げていきたいと考えているので、議員各位にも一層の御支援・御協力をお願いしたい。


問5 今後、県全体としてどのように交通事故抑止対策を推進していくのか。

【防災安全統括部長】

 県においては、県警や交通安全協会をはじめとする関係機関・団体と一体となって「交通安全県民総ぐるみ運動」を展開してきたところであるが、近年、交通事故の件数は減少する中で、死亡事故が増加傾向にあり、中でも高齢者が関係する事故が多くなるなど、誠に憂慮すべき事態となっている。
 このため、今年度の総ぐるみ運動の目標の一つに、高齢者交通死亡事故抑止を掲げ、高齢者自身に対する交通安全教育はもとより、全ての県民に高齢者の保護意識を醸成するため、各種キャンペーンや街頭活動にこれまで以上に積極的に取り組むなど、高齢者を交通事故の被害者にも加害者にもしないための交通事故抑止対策を更に推進することとしている。
また、自転車の安全利用においても、今後は高齢者を含めた全世代のヘルメット着用促進を図るとともに、自動車運転者にもシェア・ザ・ロードの実践を促す啓発に努めることとしており、引き続き、県警等との連携のもと、交通事故を抑止し、犠牲者を1人でも少なくするよう、全力で取り組んでまいりたい。


問6 しまなみ海道の自転車通行料金無料化の効果と、無料化継続に向けた取組みはどうか。

【土木部長】

 長年の懸案であった、しまなみ海道の自転車通行料金の無料化については、今治市や広島県等と連携して取組んだ結果、国や本四高速㈱の理解を得て、年度毎の期間限定ではあるが、平成26年7月から実施されているところ。
 無料化の効果としては、昨年度開催された「サイクリングしまなみ」などのイベントと相まって、魅力あふれるしまなみ海道が国内外から注目を集め、多くのサイクリストに訪れていただいた結果、昨年度は無料化前と比べ、レンタサイクルの貸出数が約1.4倍となり、その後も増加傾向にあることや、しまなみ海道沿線の博物館などの入込客数が大幅増となるなど、地域の観光振興や経済の活性化に貢献しているものと認識している。
しまなみ海道のにぎわいを定着させ、「サイクリストの聖地」として、名実ともに世界に誇れるものとするためには、自転車通行料金の無料化が必要不可欠であることから、県としては、広島県等と連携し、様々な効果をアピ-ルしながら、平成28年度以降も無料化が継続されるよう、国等に強く要望して参りたい。


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