福羅浩一 一般質問、インターネット録画中継 問1 子どもの相談活動の状況と今後の体制の充実はどうか。また、子どもの居場所づくりに向け、どう取り組むのか。 【教育長答弁】 1年半に及ぶコロナ禍により、学校内外で活動制限が長期化し子供たちの心身にも少なからぬ影響が生じている中、学校では、学級担任はもとよりスクールカウンセラー等専門職による子供たちの見守りを強化し、昨年度は、開校日が少なかった中で前年を上回る4万件余りの相談に対応したほか、全ての中高生を対象に開設したSNS相談でも、友人関係や心身の健康、学業・進路など幅広い内容について、年間600件を超える相談を受けている。 こうした中、コロナ禍の収束が見通せないままに2度目の進学・就職シーズンを迎えるに当たり、県教委では、子供たちの不安や疲労の蓄積を考慮し、例年相談件数が増加する11月から1月の3か月間は、SNS相談の開設日を週2日から毎日に拡充し、問題が深刻化する前に気軽に相談できるよう体制強化を図りたいと考えている。 また、子供たちの生活に潤いを与え、学びの機会を提供してきた放課後子ども教室や地域イベントも、コロナ禍による縮小が長期化していることから、子供たちの居場所づくりや体験交流活動を行う市町への支援を拡大することとし、必要な経費を9月補正予算案に計上しており、今後とも、子供たちが健やかに育つ環境づくりに取り組んで参りたい。 問2 島しょ部や中山間地域における小規模校の存続について、どのような方針で取り組んでいくのか。 【教育長答弁】 本県の小規模校は、地域と連携した課題解決型学習を積極的に推進しており、今治・越智地区島しょ部の3校においても、島の企業の活動を研究する一環で海外研修も行う伯方グローカルプロジェクト、地域資源の磨き上げとPRを実践する大三島魅力化プロジェクト、島での仕事づくりに挑戦する弓削高校の起業家教育など、少人数ならではの顔の見える関係を活かし、自治体や地域住民の支援を得ながら、地域に根差した学びに主体的に取り組んでいる。 一方で、少子化が進み、現行のままでは地域内で複数の小規模校が共倒れとなる事態も危惧される中、検討委員会の中間報告では、地域活性化の核としての学校の役割が再認識され、市町内唯一の学校や島しょ部の学校への特例措置、地域資源を生かした学科・コースの新設等による魅力化の推進などが提言されているところ。 県教委としても、通学環境が劣る島しょ部や、地域から存続のための支援を受け成果が認められる学校については、一定の配慮が必要と考えているが、一方で、最も大切なことは「学校の存続」ありきではなく、「生徒により良い教育環境を提供する」ことにあり、それを第一義とした生徒本位の計画づくりを進めることとしており、今後とも、圏域ごとの地域協議会を通じ、地域の声をくみ取りつつ、生徒に選ばれる魅力ある学校づくりに取り組んで参りたい。 問3 えひめ地域政策研究センターのこれまでの実績と今後の取組みはどうか。 【企画振興部長答弁】 えひめ地域政策研究センターは、地域づくりを主導する官民連携の要として、これまで、調査研究や提言、地域に根差した集落対策、地域づくり活動支援など、幅広い事業展開で地域活性化に貢献するとともに、市町や企業からこれまでに78人の研究員を受け入れるなど、人材育成や人的ネットワーク構築にも重要な役割を果たしてきた。 特に近年は、喫緊の課題である人口減少に対応するため、これまでに培った市町や民間との連携をフル活用し、オンライン移住フェアの開催や、移住コンシェルジュによる丁寧な移住相談など、積極的な移住促進策を実施し、昨年度の移住者数は過去最高の2,460人となっている。 更に、南予地域への移住促進のため、今年4月に、内子町のコワーキングスペースに移住マネージャーを配置し、南予市町とも連携して受入態勢の強化を進めている。 今後は、ますます激化する地域間競争を勝ち抜くため、本県の地域政策を主導する同センターと、地域活動の最前線に立つ市町や関係団体等との連携を一層深化させるとともに、センターとの協働のもと、移住先として選ばれる地域づくりや、交流人口・関係人口も取り込んだ担い手育成など、足下の地域課題に特化した取組みを重点的に展開して参りたい。 問4 アフターコロナを見据えて、しまなみ地域への誘客促進にどう取り組んでいくのか。 【知事答弁】 国内外から今では、年間30万人を超えるサイクリストが訪れるしまなみ海道は、コロナ禍でのアウトドア志向の高まり等を追い風に、更なる来訪者の増加が期待されており、今後、本県側の魅力的な地域資源とも連携させながら、県内への一層の誘客促進を図る仕掛けづくりが極めて重要となってきている。 このため県では、昨年度、来島海峡大橋の魅力向上に向けた愛称「クラウンブリッジ」の命名や、いわゆるインスタ映えするモニュメントの設置等に加え、外部専門家の助言等を踏まえた、架橋の桁外作業車体験やヨットクルーズ、無人島キャンプ等の新たな体験型コンテンツの掘り起こしのほか、宿泊施設向けの外国人対応講座の開催、住民のおもてなし活動への支援など、インバウンドにも訴求できる滞在型旅行商品の造成や受入態勢の強化に取り組んでいるところである。 更に本年度は、しまなみツーリズムの多彩な魅力を伝える動画を作成し、コロナ感染状況を注視しながら、SNSでの広告配信やOTAサイトでの販売促進キャンペーンの準備を進めるとともに、新たに、ウインタースポーツが盛んな北海道の事業者と、季節毎にインバウンドを誘致し合う取組みについての協議も行っている。 今後とも、地元の自治体や観光事業者、住民団体等と連携しながら、しまなみ地域が、国内外から多くの旅行者が訪れ、リピーターとなる滞在型観光エリアへと飛躍できるよう、鋭意取り組んで参りたい。 問5 本県産業のDXの推進に必要不可欠となる人材の確保・育成に、今後どのように取り組んでいくのか。 【知事答弁】 生産年齢人口の減少や新型コロナの影響による企業を取り巻く環境が大きく変化する中、県内企業が経営力の強化を図っていくためには、デジタル技術を駆使し、製品・サービスやビジネスモデル、組織体制等を変革して、競争上の優位を確立する、いわゆるDXの推進が急務であり、経営層の意識改革はもとより、企業が求めるより実践的なIT人材を確保・育成していくことが不可欠と考えている。 このため、県では、県内企業の技術者を対象にソフトウェア開発等に関する研修を実施し、平成30年度からの3年間で高度IT人材を200人以上育成してきた。これに加え、更なる産業分野のDXを進めていくため、企業の意思決定の鍵を握る経営層向けの意識改革セミナーや、豊富な知見を有する大学等との連携による、社内人材向けのデータ利活用啓発セミナーを実施するほか、IT人材と企業ニーズのマッチングを図り、専門家のコーディネートの下で実践的なインターンシップとフォローアップ研修を一体的に行うための経費を今回の補正予算案に計上したところ。 今後とも、県内企業がDXを進めることで、既存の業務プロセスの変革や新たなビジネスモデルの創出により、経営課題を解決し、産業競争力の強化を実現できるよう、産学官が一体となって、高度IT人材を始め、産業分野のDX推進に必要な様々なレベルの人材の確保・育成に積極的に取り組んで参りたい。 問6 今後どのような方針で徴収確保対策に取り組んでいくのか。 【総務部長答弁】 教育や医療・福祉などの県民サービスを支える自主財源である県税収入の安定確保に向け、県では、毎年度「徴収確保対策本部」を開催し、具体的な数値目標を設定した基本方針を策定するとともに、消費行動の変化に対応し、スマホ決済アプリなどキャッシュレス納付の導入を図り、利便性向上による自主納付促進と、特別滞納整理班による効果的・効率的な滞納整理を積極的に推進してきた。 令和2年度については、新型コロナによる県税への影響が懸念されたものの、滞納繰越額の約7割を占める個人県民税の事業主による特別徴収の働きかけや税務職員の相互併任制度の全市町への拡大など現場の努力の結果、徴収率は99.21%と前年度を若干下回ったものの2年連続で全国1位となることができた。 今後とも、今年度新たに5か年の数値目標として設定した徴収率等の達成に向け、納税者の置かれた状況に十分配慮しつつも、税負担の公平性の観点から、公正かつ厳格な滞納処分を行うとともに、税務署や市町と連携して、納税意識の向上への取組みの強化を図り、貴重な自主財源である県税収入の確保と県民に信頼される税務行政の確立に向け、職員が一体となって徴収確保対策に全力で取り組んで参りたい。 問7 県管理道路における防災対策の現状はどうか。また、今後どのように取り組んでいくのか。 【土木部長答弁】 県では、近年の激甚化・頻発化する豪雨や南海トラフ地震等の自然災害に備え、「安全で信頼性の高い道路網」を確保するため、トンネル保全対策、橋りょう耐震補強及び法面対策など、事前の防災対策に積極的に取り組んでおり、なかでも、災害時の避難・救援活動を支える緊急輸送道路の対策を重点的に進めているところ。 具体的には、これまで県管理道路の防災点検で対策が必要とされた2,588箇所について、昨年度末までに 1,766箇所が完了し、進捗率は68%となっている。このうち緊急輸送道路では、1,015箇所のうち913箇所が完了し進捗率が90%に達し、トンネル保全対策や橋りょう耐震補強が概ね完了するなど、重点化の成果が表れている。 引き続き、緊急輸送道路の防災対策の早期完了を目指し、今回の補正予算案に関連事業費を計上するとともに、国の「5か年加速化対策」も最大限活用して着実に道路網の安全性を向上させるほか、大規模災害時に速やかに通行できるよう、国や業界団体と合同で道路啓開の訓練を実施するなど、ハード・ソフトの両面から、県民の安全・安心につながる道路の防災対策の推進に全力で取り組んでまいりたい。
福羅浩一 代表質問、インターネット録画中継 問1 安倍政権に対する知事の評価はどうか。また、新政権に期待することは何か。 【知事答弁】 安倍政権は、7年8か月にわたる安定的な政権運営のもと、経済再生を最優先に掲げ、大胆な金融緩和や積極的な財政出動により、企業業績の向上や株価の上昇、雇用情勢の改善等を実現するとともに、特に、外交面において良好な日米関係を構築し、積極的な首脳外交により国際社会での我が国の存在感を高め、通商交渉やオリ・パラ誘致等に実績を残されたことを評価しているところ。 また、人口減少が進む地方に対し、地方創生を強力に推進し、地域活性化に向けた主体的な取組みを一貫して支援頂いた。さらに、西日本豪雨災害で、発災3日目に私が上京した際、安倍総理に深刻な被災状況を直接受け止めていただき、南予での大規模断水の迅速な復旧への支援や、肱川の治水対策をはじめとする防災・減災対策にご尽力を賜り感謝申し上げたい。 一方で、我が国の持続的な発展に不可欠な成長戦略については、インバウンドの拡大等により地方経済にも好循環が生まれたものの、デフレ脱却等景気浮揚は限定的なものに留まったほか、社会保障制度と財政健全化の一体的な改革や地方分権改革に大幅な進展は見らなかったことと思う。二度の消費増税等で国民に負担を求めたにも関わらず、国民との約束である国会議員の定数削減など、身を切る改革が進まなかったことは残念に感じている。 本日発足する新政権には、まずは何よりも新型コロナウイルス対策に最優先で取り組み、感染拡大の防止と落ち込んだ経済活動の回復への道筋を示すことで、国民の不安払拭に努めるとともに、人口減少や少子高齢化、災害からの復旧・復興、エネルギー政策など山積する諸課題について、国民目線に立った丁寧かつオープンな議論を展開し、地方や現場の声に真摯に耳を傾けていただきながら、スピード感を持って具体的な成果を出していただくことを大いに期待している。 問2 季節性インフルエンザの流行期の到来を見据え、多数の発熱患者に対応できる検査体制をどのように構築するのか。 【知事答弁】 本県の新型コロナウイルスの感染状況は、7月下旬から散発的な感染は確認されているものの、関係機関が一丸となって囲い込みを行うことで、感染の拡大は食い止めており、7月以降の人口10万人当たりの感染者数は、8月末現在で47都道府県中44番目となっている。これもひとえに、感染回避行動の習慣化に努めていただいた県民の皆様のご理解と実践、ご協力によるものであり、感謝申し上げる。 検査については、医師が必要と認めた場合は漏れなく、また、感染が確認された場合は、徹底した囲い込みと封じ込めを行うため、関係者に対し幅広にPCR検査を行うことを基本に、当初から対応してきたところ。このような中、国から、季節性インフルエンザの流行を見据え、これまでの検査体制等を見直し、発熱等の症状が生じた患者については、地域のかかりつけ医などの身近な医療機関に直接相談・受診し、必要な検査に繋げる体制を、地域の医師会とも協議・合意の上で整備するよう求められている。 このため、現在、発熱患者に対する検査体制の構築について、県医師会の先生方の協力がなければ進まないため調整を進めるとともに、各圏域では、地域の医療資源の実情も考慮し、各医療機関で迅速に検査が行える抗原検査キットの活用の拡大や、ドライブスルー方式による検体採取などの検査方法について、地元市町や郡・市医師会等と協議を進めているところ。多数の発熱患者等の発生が予測される秋冬のインフルエンザの流行期においても、必要な検査が迅速に実施できるよう、今後とも医師会等と緊密に連携を図りながら、多くの医療機関で診療・検査を担う体制ができるよう、その構築に取り組んでまいりたい。 問3 現在の県内経済の状況をどのように捉え、感染予防と社会経済活動の両立に向けてどう取り組むのか。 【知事答弁】 新型コロナウイルス感染症の影響により、世界各国で過去最悪のマイナス成長が見込まれ、国内景気の更なる後退も懸念される中、県内経済についても、生産や雇用の落ち込みが続いており、9月の県内主要62社への県調査では、9割以上が売上減少等の悪影響があると答えるなど、影響が長期化すれば幅広い業種の事業者が倒産・廃業の危機に直面するのではないかと危惧している。 県では、いち早く立ち上げた無利子の県単融資制度の枠を2千億円に拡大し、8月末までに約6千件、金額として1,133億円の貸付を行い、企業の資金繰りを強力に支援するとともに、「えひめ版協力金パッケージ」により、3密回避や新ビジネス展開等、県内事業者の前向きな取組みを後押しするほか、県内宿泊旅行代金の割引などにより、地域経済を下支えしてきたところ。 また、非対面・非接触等の感染予防を織り込んだ新しいビジネススタイルの定着や事業者の経営基盤の強化に繋がる設備導入等への補助制度を新たに創設するとともに、感染拡大予防ガイドラインに基づく各団体の実践活動の深化・定着を促進するなど、感染防止対策を講じつつ、事業活動を継続する取組みも支援している。 さらに、人やモノの動きを活性化させるため、観光需要を喚起する宿泊旅行代金割引の継続やWeb商談会、バーチャル展示会をはじめとするデジタル技術を活用した販路開拓・拡大に取り組むなど、引き続き、感染予防を徹底しながら、コロナ禍においても、攻めの姿勢を持ち、地域経済の立て直しに全力で取り組んで参りたい。 問4 新型コロナウイルス感染症の影響により大きく落ち込んだ観光需要を喚起するため、今後、どのように取り組むのか。 【経済労働部長答弁】 県では、新型コロナウイルス感染症の拡大により深刻な打撃を受けた観光産業の早期回復を図るため、6月から県内宿泊旅行代金の割引を実施しており、8月までに発行した6万6千人泊分は全てご利用いただいているほか、宿泊事業者等による受入環境整備や魅力的な宿泊プランの造成・販売など、観光関係事業者の自主的な取組みを支援してきたところ。 加えて、各市町による独自の取組みなどの成果もあり、5月に前年比約3割まで落ち込んでいた県内主要観光施設の観光入込客数は、6月には約6割、7月及び8月には約7割まで回復しており、県としては、これまでと同様、旅行者及び観光関係事業者の双方に、感染予防及び感染防止策の徹底を呼び掛けるとともに、全国の感染状況を見極めながら、県内宿泊旅行代金の割引を引き続き実施し、更なる旅行需要の喚起を図る所存。 また、今後は、安全・安心を重視する旅行者の意識変化に即応し、サイクリングや現在整備中の四国最大級のジップラインなどのアウトドア系のアクティビティを中心とした愛媛ならではの魅力を発信することで、効果的な誘客促進を図り、観光需要の回復をより一層後押しし、地域経済の活性化に繋げて参りたい。 問5 地方移住への関心が高まっている中、今後、本県への移住促進にどのように取り組むのか。 【知事答弁】 本県では、これまで大都市圏での積極的な移住フェアの開催や移住コンシェルジュの設置、移住者の住宅改修支援など、きめ細かな移住促進施策を展開しており、昨年度、全国移住希望地ランキングで初のトップ10入りを果たすとともに、移住者数も、年間1,909人と5年連続で過去最多を更新するなど、着実に成果を上げているものと実感している。 また、コロナ禍が長期化する中、本年度から、オンラインでの移住フェアや常設相談を実施しているほか、近年の大都市圏における田舎暮らしへの関心の高まりや、働く場所を問わないテレワークの拡大などの動向に着目し、本県への更なる移住に結びつける新たな戦略のもと、8月補正予算で、他県に先駆けて、テレワーカーをターゲットとした移住施策に取り組むこととしたところ。 具体的には、デジタルマーケティングを活用し、大都市圏のテレワーカーにえひめ暮らしの魅力を効果的に発信するとともに、市町や民間事業者によるシェアオフィス等の整備や、地域特性を活かした交流・体験メニューの開発等への支援を行うほか、特に、人口減少が著しい南予地域では、企業を対象としたワーケーション誘致や、地域おこし協力隊のOB団体等と連携したテレワーカーの地域定着支援を行う拠点施設の整備に取り組み、本県への新たな人の流れを創出したいと考えている。 今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携し、ゆとりと潤いのある環境の中で仕事と生活を楽しむことのできる「愛媛発の暮らし方改革」を広く情報発信することで、本県への移住・定住の一層の促進に努めてまいるる所存。 問6 学校現場では感染症対策や学習・部活動・学校行事等の学校運営について、どのように取り組んでいるのか。 【教育長答弁】 依然としてコロナ禍の収束が見通せず、感染リスクと向き合いながら、子供たちの豊かな学びを確保する難しい舵取りが続く中、学校現場では、3密回避など従来の基本的対策の徹底に加え、外部からの感染を防ぐ水際対策や感染発生時における迅速かつ徹底した囲い込みなど、家庭との連携を強めながら、影響を最小限に食い止めるための態勢強化に不断の努力を重ねているところ。 一方、学習面では、夏休みの短縮や指導計画の見直し等により、県内全ての学校で2学期中には学習の遅れを取り戻せる目処が立っているが、再度の休業措置等に備え、オンライン学習による質の高い学びを確保できるよう、全県立学校への映像機器整備や1人1台端末配備などICT環境の整備や、教員のスキルアップを計画的に進めている。また、部活動や運動会、修学旅行など特別活動等については、「感染リスクを管理しながら可能な限り実施する」ことを基本方針として県教委が作成したガイドラインに基づき、学校ごとに工夫を凝らした取組みが進められている。 県教委としては、「この一年」が全ての子供たちにとってかけがえのない一年であることを強く意識し、コロナ禍にあっても子供たちが学校生活を楽しみ、幅広い経験を養えるよう、今後とも新型コロナの感染状況等を注視しながら「学びの保障」に最善を尽くして参りたい。 問7 水害対策にどのように取り組んでいるのか。 【知事答弁】 県では、一昨年の西日本豪雨災害の経験を踏まえ、同様の被害を二度と繰り返さないという強い決意をもって、県政の最重要課題の一つに掲げる防災・減災対策を一層推進するため、ハード・ソフト両面から水害対策に積極的に取り組んでいる。 ハード面では、浸水被害が発生した河川の改修や甚大な被害をもたらす堤防決壊を防ぐための補強対策に重点を置き、治水機能の強化を図るとともに、治水安全度の向上に即効性のある河床掘削にも継続的に取り組んでおり、今回の補正予算案においても、地域からの多くの要望を踏まえ、本年7月の豪雨等により堆積した土砂の撤去を機動的・集中的に行えるよう、必要な経費を大幅に増額して計上している。 また、ソフト面でも、河川施設のみでは防ぎきれない大洪水は必ず発生するとの認識のもと、県民の皆さんにためらうことなく避難していただくために、小・中学生への防災教育による自助意識の向上や、登録者数全国1位を目指している防災士の養成による地域防災力の充実に取り組むなど、避難支援策の強化を推進している。 さらに、今後も懸念される水害の激甚化・頻発化に備え、新たな取組みとして、出水期に入る本年6月から、利水者の協力のもと、既存ダムの利水容量を活用して洪水調節機能を強化する「事前放流」の運用を順次開始しているほか、流域内の住民を含めたあらゆる関係者が協働して水害の軽減を図る「流域治水プロジェクト」を、国や市町と連携しながら策定することとしており、今後とも、多様な水害対策を流域全体で推進することにより、県民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいりたい。 問8 上島架橋事業における岩城橋建設工事の進捗状況と今後の取組みはどうか。 【土木部長】 4つの島を3つの斜張橋で繋ぐ上島架橋の実現は、島民にとって合併当初からの悲願であり、既に橋で結ばれた3島では、地域の祭りやスポーツ・文化活動における交流の拡大、西日本豪雨災害での断水に伴う応急活動など、様々な面で効果を発揮しており、残る岩城橋についても早期完成が望まれているところ。 この岩城橋は、高さ130mを超える主塔から、ケーブルを使って左右のバランスを保ちながら、海上約45mの高さに橋桁を張り出していく難易度の高い工事であるとともに、現場では、県外からの作業員も多く、3密回避など新型コロナウイルス対策をより徹底し、慎重に作業を進めている。 現在、2つの主塔の建設とコンクリートの橋桁の架設が約9割まで進捗し、来月には海上から鋼製の橋桁の架設にも着手する予定であり、来年夏頃、全長735mの本体橋の橋桁が繋がる見込み。 県としては、岩城橋の完成が、上島町全体の一体化はもとより、地域産業の活性化、観光振興等に大きく寄与するとともに、消防活動や救急搬送の新たな移動手段として、住民の安全・安心の確保につながることから、令和3年度の開通に向け、引き続き、全力で取り組んで参りたい。 問9 プロ野球オールスターゲームの2022年の本県開催に向けて、今後どのように取組みを進めていくのか。 【知事答弁】 この度の本県で3回目となるプロ野球オールスターゲーム開催決定は、新型コロナによる厳しい日常が続く中で、懸命に頑張っている全ての県民の皆様に、困難を乗り越える勇気や希望、活力をもたらしてくれるものと確信しており、これまでの開催と同様に大きな経済効果も期待できることから、大変うれしく思っている。 今回は全国各地から名乗りが上がり、激しい誘致合戦となったが、県、市町、スポーツ団体、経済団体など、全県を挙げて「野球王国・愛媛」の知名度向上等に取り組んできた「愛・野球博」事業が、日本野球機構や球団等の関係者から高い評価を受けたことが大きな決め手となったと聞いており、今年度末までの3年間としていた同事業を2年間延長するとともに、今回のオールスターゲームをその集大成と位置付け、更なる強固な連携のもと、着実に準備を進めていきたいと考えている。 このため、愛・野球博実行委員会内に県及び全市町の担当者で構成するプロジェクトチームを早期に立ち上げ、県内全域での機運醸成や盛り上げの具体策を企画・展開することとしているほか、過去2回の名場面などを収録したPR用特別番組の制作やプレイボールイベントを実施することとし、必要な経費を今回の補正予算案に計上したところであり、引き続き、県民の皆様に大いなる感動をお届けできるものとなるよう、様々な工夫を凝らした取組みを積極的に検討・展開して参りたい。