2013年(平成24年度)3月6日定例県議会議事録

【問1(1)】しまなみ海道を含む本四高速の全国共通料金導入に向けた検討の状況はどうか。

(答)中村知事
本四高速の出資金については、年額それまで53億円を支払ってきた。これをまたさらに期間が来たにもかかわらず10年延長するよう国が求めてきたわけであり、このことについては真正面から向き合ってきた。与党野党衆参問わず県選出の国会議員、県議会の各会派代表者からなる「チーム愛媛」で国に強く働きかけた結果、平成26年度から全国の高速道路並みの料金の導入を条件に、2年限定で約45億円減額した出資をすることを、国と合意した。
この合意に基づき国は、本四を含む今後の高速道路の料金制度について、建設債務の償還期間の延長などを視野に入れ、全国の自治体や経済界などの意見も踏まえながら検討を進めており、約束の今年度末を目途に具体的な実施方針を取りまとめるべく、これまでに5回「国土幹線道路部会」を開催しているところである。
一方、本県をはじめ関係府県市は、約束した出資金を滞りなく支払うことで、今年度末までの実施方針の取りまとめを国に対して促していくとともに、昨日も国に対し、平成26年度からの全国共通料金の確実な導入を要請したところである。
今後も部会の動向を注視するとともに、国が関係府県市との合意を確実に実行するよう、時宜を逸することなく、強く要請してまいりたい。

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【問1(2)】本四高速の通行料金低減の影響が見込まれる中で、今後、公共交通機関に対し、どのような維持・活性化に取り組んでいくのか。

(答)横田企画振興部長
本県の公共交通は、これまでの高速道路料金施策等により大変厳しい環境に置かれており、とりわけフェリーについては、これまでに多くの航路が廃止されたが、更に、平成26年度からは本四高速料金の引下げが予定されており、一層深刻な状況が懸念され、現在ある航路の維持・確保が喫緊の課題となっている。
このため、県では、来年度から、航路事業者等と協調して、本県発着のフェリーの利用促進につながるキャンペーンを実施するとともに、航路就航先にキャラバン隊を派遣し、観光PRや物流事業者へのフェリー利用の働きかけを行いたいと考えており、例えば、南九州と京阪神間での移動では、陸路に比べフェリーを利用して本県を経由した方が、移動距離が大幅に短縮され、運転手の負担も軽減できるといったフェリーの優位性も具体的にPRし、利用促進に取り組んでいくこととしている。
さらに今後は、福羅議員お話のとおり、観光客による公共交通機関の利用拡大をしていくことが重要であることから、サイクリングを楽しむ観光客がフェリー等に自転車を乗せる場合に料金を割引する「せとうちサイクルーズPASS」制度の拡充を働きかけるなど、観光振興と連携した公共交通の活性化に努めるとともに、併せて、国に対しフェリー航路等公共交通の維持・確保に向けた支援を引き続き要望していきたい。

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【問1(3)】しまなみ海道の自転車通行料金の無料化に、今後どのように取り組んでいくのか。

(答)中村知事
県では、サイクリストの聖地として、国内外から注目を集めつつあるしまなみ海道に、多くのサイクリストや観光客を呼び込み、地域の活性化につなげていくためには、利用者からの要望も強い、自転車通行料金の無料化が不可欠であると考えている。昨年春に期間限定で料金の無料化が実施された際には、沿線観光施設の入込客数やレンタサイクルの増加に実際に結びつくなど、その経済効果は非常に大きいことから、県では、本年10月20日に開催される瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリングプレ大会や、県下全域でサイクリングロードを整備する「愛媛マルゴト自転車道」を展開することにより、本県への観光客が増加し、ひいては、しまなみ海道の自動車料金収入の増大に寄与することを、国や本四高速にアピールし、無料化に繋げていきたいと考えている。今後とも、これら全県的な取組みを国に強く訴えながら、平成26年度の瀬戸内しま博覧会(仮称)のメインイベントとなる国際サイクリング大会までには、恒久的な無料化が実現できるよう、広島県や関係市町と連携して取り組んでいきたい。

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【問2(1)】関係機関が連携して、松山空港を活用した本県農林水産物のPRに取り組んではどうか。

(答)高木農林水産部長
松山空港では、これまでも松山空港ビル㈱が加工販売業者等と連携して食関連のフェア、真珠・タオル等の物産販売、市町別の特産品フェアなど、年間約100回のイベントを開催するほか、松山空港利用促進協議会が「ポンジュース蛇口」による無料試飲イベントを実施し、多くの方々に柑橘王国・愛媛を広くPRしているところである。
県としても、年間約220万人もの方々が利用する松山空港は、福羅議員お話のとおり、愛媛が誇る農林水産物を国内外にアピールする場として非常に魅力的で、高い宣伝効果が見込まれることから、松山空港ビルや生産・加工団体、市町等に働きかけ、これまで行ってきたイベントの拡充・強化や、ディスプレイ・パネル等の効果的な広告媒体の導入に努めたいと考えている。
また、例えば、旬の最高級柑橘や「愛」あるブランド産品、愛育フィッシュ等を展示・紹介・即売するコーナーの設置など、松山空港を活用した県産農林水産物PRのための新たな方策についても、今後、費用対効果の検証や、関係機関との協議を行いながら、前向きに検討してまいりたい。

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【問2(2)】松山空港においても親しみやすい愛称と、空港内でのユニークなイベントを検討してはどうか。

(答)横田企画振興部長
松山空港は、ビジネスでの利用はもとより、観光振興による本県の活性化を図っていく上で、欠かすことのできない重要な交通拠点であると認識しており、県では、これまでも関係機関等と連携しながら、定期航空路線の維持・拡充やチャーター便の運航などに取り組み、空港の利便性の向上と利用促進に努めてきたところである。
さらに、空港の魅力を高めるため、「ポンジュース蛇口」の設置をはじめ愛媛の魅力をPRする情報発信イベントや太鼓台、だんじり、牛鬼の展示など愛媛らしい演出のほか、特産品等の物販フェアを年間で約100回にわたり開催しているところであり、今後とも空港を訪れた方々に愛媛らしさを感じていただき、楽しく何度でも利用していただけるような地域色豊かなイベントを展開できるよう、関係機関とも連携しながら取り組んでいきたい。
なお、お話の松山空港の愛称については、まずは、県内の機運の盛り上がりが重要であり、また、ターミナルビルの各種表示や空港会社のシステムの変更等に多額の費用を要することから、今後の研究課題とさせていただきたい。

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【問3】県産材の需要拡大戦略として、原木の安定供給や国内外での販路拡大に、今後どのように取り組んでいくのか。

(答)上甲副知事
本県の豊富な森林資源を活かし、林業・木材産業を地域の成長産業として育成するためには、福羅議員お話のとおり、県産ブランド材の生産に欠かせない原木の安定供給と、国内外への積極的な市場開拓による販路拡大を戦略的に進めていくことが、何よりも重要であると認識している。
このため、県では、原木の安定供給について、えひめ森林・林業振興プランに基づき、施業集約化や路網整備、高性能林業機械の導入等を通じた計画的な間伐を推進し、良質な原木の増産を図るとともに、今回の当初予算において、昨年のような木材価格が暴落する事態を回避できるよう、例えば、原木市場における競り売り中心の販売形態から、森林組合等の生産者と製材工場等の需要者による契約販売へ転換するなど、新たな流通システムの導入支援に取り組むこととしている。
また、販路拡大についても、JAS材生産による品質向上や、梁・桁などの新商品開発を図りながら、知事によるトップセールスや商談会の開催など、首都圏をはじめとする大都市圏への販売促進活動を一層強化するほか、新たに県単事業として、中国等への県産材の輸出を目指した営業活動や、輸出にチャレンジする企業への支援を行うこととしている。
今後も、国内外の需要動向を的確にとらえ、林業・木材業界と連携を密にしながら、本県が誇る「媛すぎ・媛ひのき」のブランド力の強化や、県産材の一層の需要拡大に努めてまいりたい。

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【問4(1)】医療機関や断酒会等との連携を強化し、予防のための啓発活動も含めたアルコール依存症の相談窓口の充実を図るべきと考えるがどうか。

(答)神野保健福祉部長
県では、アルコールと健康に関する正しい知識の普及を図りながら、アルコール依存症に対しては、心と体の健康センターと保健所で電話等による相談に応じるとともに、医療機関と連携しての訪問指導や、県・市町の保健師等を対象とする支援技術向上のための研修などを実施しており、市町においても、保健センター等での相談に加え、講演会による啓発などを行っているところである。
また、アルコール依存症からの回復には、参加者同士が自己の経験を語ることで断酒の継続を実践する断酒会活動など、自助グループによる粘り強い取組みが重要で効果的と認識しており、県への相談者には最寄りの断酒会を紹介するなど、連携して対応している。
今後も、治療にあたる医療機関や断酒会等との連携を強化しながら、過度の飲酒が、生活習慣病、うつ病といった様々な疾患の要因になることなどの啓発など、予防のための活動を展開するとともに、市町の対応能力向上の支援や、相談窓口に関する広報等を充実させることで、早期対応に結び付くよう努めてまいりたい。

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【問4(2)】飲酒運転検挙者に対する、アルコール依存症の受診及び治療へのアドバイス並びに講習等に、より一層取り組んでいくべきと考えるがどうか。

(答)高木警察本部長
ここ数年、県内で運転免許取消処分を受けた者のうち、その約6割が飲酒運転違反者であるという状況が続いており、飲酒運転違反者に対するその改善のための対策は重要な課題と認識している。警察では、飲酒運転違反により、運転免許の停止あるいは取消しの処分を受けた者に対する講習においては、飲酒行動の改善を目指す特別のカリキュラムを実施している。
具体的には、
・飲酒が運転に与える影響を擬似体験により理解させるため、運転シミュレーターや飲酒体験ゴーグルを活用する
・飲酒運転の被害者遺族の手記を題材として、飲酒運転が招く結果の重大性を認識させる
・アルコール依存症のスクリーニングテストにより、自分の飲酒行動の問題点を自覚させた上、カウンセリングを行う
・断酒会や依存症に悩む家族を支援する会の方による講演により、受診・治療など対処方法を理解させる
など、教育内容の充実に努めているところである。
県警としては、こうした効果的な教育に努めるとともに、厳正な取締りを推進し、飲酒運転の根絶に向けて取り組んでいく。

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【問5(1)】いじめや体罰問題のない学校のみを評価するのではなく、発生した問題にどのように対処したかも評価されるべきと考えるがどうか。

(答)仙波教育長
いじめや体罰は、児童生徒の心身の健全な発達に重大な影響を及ぼすだけでなく、尊い命が絶たれる痛ましい事件にも発展するなど、その対策は、社会全体の喫緊の課題であり、本県でも、重要課題として様々な取組みを進めている。
しかしながら、学校現場においては、これまで、ともすればいじめや体罰がないことを持って良しとする風潮があったのではないかと推測され、今後は、痛ましい事件を未然に防止するためにも、これまで以上に早期に事案を発見し、速やかに解決に向けた対応を進めていくことを重視する必要があると考えている。
このため、昨年12月に市町教育委員会及び県立学校に対し、学校評価や教員評価にあたっては、いじめの有無やその多寡だけでなく、問題を隠さず、いかに迅速かつ適切に対応しているか、また、組織的な取組みができているか等を評価するよう指導したところである。また、体罰については、もとよりあってはならないが、万が一問題が発生した場合には、いじめと同様の姿勢で、早期発見・早期解決を図るよう更なる指導に努めていきたい。
また併せて、いじめ対策アドバイザーの設置や警察等関係機関との連携により、個人情報には十分配慮しながら、可能な限りオープンにして問題対応に当たるとともに、学校評議員やPTA等の声を積極的に反映するなどして、開かれた学校運営に取り組んでまいりたい。

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【問5(2)】「道徳の教科化」について、県教育委員会の所見はどうか。

(答)仙波教育長
東日本大震災で日本人が示した落ち着いた行動や礼儀正しさなどの道徳性は世界から賞賛されたが、一方では、若者の規範意識の低下やいじめの悪質化などの問題が指摘されており、他者への思いやりや規範意識などを育む道徳教育の役割は大きく、更なる充実が求められていると認識している。
これまで道徳教育については、全国的には、学校や教員により指導する内容や方法等に差が見られるなどの批判があったが、教科化が実現すれば、教材の抜本的な充実や効果的な指導方法等の開発、全学校での授業時数の確保、教員の道徳教育に対する意識向上などが図られるほか、学校と家庭・地域が連携した道徳教育が一層推進されるものと期待している。
しかし一方で、教科に位置付けるにあたっては、福羅議員ご指摘のあった成績評価の方法や教員が所有すべき免許など、検討すべき課題も残っているのではないかと考えており、教科化実現に向けた国の動向を注視しながら、全国都道府県教育委員会連合会などの場で研究協議を行い、実際に道徳の授業を担っている学校現場の声を国に対して十分に届けてまいりたい。

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