2014年(平成25年度)3月5日定例県議会議事録

問1 しまなみ海道について

(1)しまなみ海道の自転車通行料金の無料化について、費用負担や実施時期を含め、今後どう取り組むのか。

【知事】

 しまなみ海道の自転車通行料金の無料化については、去る2月6日に、私と広島県知事が太田国土交通大臣を訪ね、地元負担を前提とした無料化の実現と、負担軽減への積極的な支援を要望し、大臣からは、昨年10月の国際サイクリングプレ大会を成功裏に終えた「地元の努力」を評価されたうえで、「無料化の実現に向け調整するよう、直ちに本州四国連絡高速道路株式会社(本四会社)に指示をする」との積極的な発言をその場でいただき、長年の懸案であった無料化に向け、大きく前進したことは、大変うれしく思っている。
 現在、本四会社と地元自治体において、負担額や負担割合等を含めた無料化の仕組みを具体的に検討しているところであるが、このうち地元負担については、景観に配慮しながら、しまなみ海道沿線に企業PRの広告看板を設置し、その広告料収入を負担の一部に充てるなど、民間からの支援をいただくことも検討している。
 また、無料化の実施時期については、今後、制度設計や事務手続きを経て、今年の夏休み前には是非とも実現したいと考えており、「瀬戸内しまのわ2014」の集客力アップや、最大のイベントである「国際サイクリング大会」の一層の盛り上がりにも繋げていきたいと思う。
 この無料化により、しまなみ海道が名実ともに世界に誇れる「サイクリストの聖地」として、益々魅力が高まるとともに、本県が推し進める「愛媛マルゴト自転車道構想」に弾みがつき、ひいては観光振興や地域の活性化にも大きく寄与することから、県としては、引き続き、広島県や関係機関と連携しながら、実現に向け、鋭意、取り組んでいきたいと思う。


(2)しまなみ海道を含む本四高速の新料金体系の実施見通しと、今後の利用促進に向けた取組みはどうか。

【土木部長】

 先月発表された本四高速を含む新たな高速道路の料金案は、昨年12月に国が公表した「新たな高速道路料金に関する基本方針」に沿ったものであり、県としては、予定どおり、4月1日からの実施に向け、手続きが進められているものと認識している。
 この新料金案では、本四高速は、全国料金プール制に編入され、全国から支援を受ける形となるが、今や全国高速道路ネットワークの一部となっていること、また、本四関係10府県市が長年に亘り出資を行ってきたこと、更には、近年、本四の交通量や収入が増加の傾向にあることなどを踏まえると、国民の理解は得られるものと考えている。
 県では、新料金体系のもと、これまで以上にしまなみ海道を利用していただく必要があると考えていることから、「瀬戸内しまのわ2014」や「国際サイクリング大会」を最大限に活用し、観光振興や地域活性化に努めるとともに、広島県をはじめ関係自治団体等と様々な分野で相互に連携・協力しながら、より一層の利用促進に向け、鋭意取り組んでまいりたい。


問2 地域活性化のためには高速通信網の整備とICTの有効活用が必要と考えるが、今後どう取り組むのか。

【企画振興部長】

 地域の格差や様々な課題を解決し、地域活性化を図るうえで、情報通信基盤の整備とICTの活用は有効な手段であることから、これまでも、県では、民間通信事業者による光ファイバーの整備を基本に、地元市町等の要望を踏まえ、国の支援制度を活用しながら超高速ブロードバンドの整備に努めてきたところであるが、ご指摘のとおり、山間部や島しょ部の一部では未だ整備がなされていない現状にある。
 このため、通信事業者や学識経験者、国・県・市町で構成する県ICT推進会議において、コスト低減が見込まれる無線通信基盤の整備を事業者に働きかけるとともに、市町に対しては、先進事例等を紹介し、ICTの積極的な活用を促しているところである。
 また、過疎地域のうち、ICTを活用した地域活性化のニーズが高い所を対象に、市町や地域おこし協力隊と連携しながら、生活、医療、産業等、その地域固有の課題の解決策を協議していくこととしており、今後ともこうした取組みを推進しながら、高速通信網の整備とICTの有効活用を積極的に図ってまいりたい。


問3 上島架橋及び九島架橋事業の進捗状況と今後の取組みはどうか。

【土木部長】

 県では、上島架橋及び九島架橋事業が、島民の生活の利便性向上や救急医療体制の充実、観光振興による地域活性化等に大きな効果を発揮することから、重要施策の一つと位置付け、積極的に推進しているところ。
 このたび、「ゆめしま海道」と命名された上島架橋の岩城橋については、今年度、国の補助事業を導入し、現在、現地測量や地質調査、橋梁本体の詳細設計を進めており、今後は、地元の協力を得ながら用地補償や工事を進め、平成33年度の完成を目指して取り組んでまいりたい。
 また、九島大橋については、宇和島市の要請を受けて県が施行しており、昨年度に発注した2基の橋脚工事は、2月末で進捗率約75%となっている。さらに、橋梁上部工の製作・架設工事についても、先月発注するなど事業は順調に進んでおり、市が施行している取付道路も含め、完成は平成27年度末を予定している。
 これら離島架橋事業については、多額の事業費が必要となるため、今後とも、県と地元市町が連携し、国に対して予算確保を強く要望するなど、事業が計画どおりに進捗するよう、引き続き全力で取り組んでまいりたい。

問4 新しい繊維産業技術センターを拠点として、今後、県内タオルや繊維産業の振興にどう取り組むのか。

【知事】

 今治のタオル産業は、ブランド化を目指した地域挙げての取組みが本物志向の顧客の支持を獲得し、長い低迷期から脱しつつあるが、産地復活への歩みを確実にするためには、消費者の心を掴む新商品の継続的な開発やそれを担う技術面での中核人材の育成、対外的な情報発信の強化が重要であり、今月28日にオープンする新繊維産業技術センターがその先導的役割を果たしていきたいと考えている。
 このため、新センターでは、国内唯一の繊維学部を持つ信州大学等の協力も得て、意欲あるタオル・繊維関連企業との産学官共同研究の充実を図り、高機能繊維などの新素材や消費者の感性に働きかけるデザイン手法等を活用した、付加価値の高いプライベートブランド商品の開発支援を強化するとともに、四国タオル工業組合等と連携し、新たに染色や機織・縫製分野の高度専門技術者の養成研修などを実施することとしている。
 また、情報発信を通じたタオル業界のイメージアップについても、新センターにおいて、広く県民を対象としたタオルづくり体験学習やエントランスを活用したロビー展を実施していきたいと思う。また、先般、東京で営業活動中に感じたことだが、現在、すご技データベースを一つのツールとして営業しているが、これに続く分野として、ものづくり分野の「すご技」に続いて、今治タオルや伝統工芸などの「すごモノ」データベース、さらには食のほうの営業をするときに必要となる「すご味」データベース、こういったものを作成していきたいと思っている。
 大都市圏におけるタオル等の販売協力店を、また新たに「えひめ逸品大使館」として認定する制度も立ち上げたいと考えており、これらの活用による情報発信や販路拡大も図る所存である。今後とも、県内のタオル・繊維産業の振興に向けて、新しい繊維産業技術センターが、技術支援はもとより人材育成や情報発信等の面で,拠点機能をしっかり果たせるよう、取り組んでまいりたい。

問5 国の地方交付税の算定見直しを受け、今後どう取り組むのか。

【総務部長】

 普通交付税の算定見直しは、合併を積極的に推進してきた本県の市町にとって、死活問題とも言うべき大変重要な問題であり、これまで、県議会の決議や県と市町による国への提言に加えて、長崎県や大分県など他の合併先進県とも緊密に連携して要望活動を行った結果、今回、総務省から平成26年度から5年程度の期間で、算定方法の見直しを行う方針が示されたところ。
 今後、議員お話のとおり、平成26年度から3カ年かけ「支所に要する経費」の見直しが行われ、平成27年度以降、「合併による面積拡大に伴い増加が見込まれる経費」や「離島を合併した団体の需要」の割増し、「交付税の算定に用いている標準団体の面積の拡大」が、順次、普通交付税の算定に反映される予定である。
 今回の見直しでは、本県の提言項目が取り入れられるなど一定の成果は得られたが、平成27年度以降に見直される支所以外の具体的な内容や措置額が、現時点では不明となっている。県としては、引き続き、情報収集に努めるとともに、今後、具体の制度設計が進められる中で、本県の合併市町の実態を反映した見直しが行われるよう、市町と連携し強く要請して参りたいので、議員各位におかれても、ご支援を賜りたい。

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