2017年(平成29年度)3月3日定例県議会議事録

福羅浩一 一般質問、インターネット録画中継

問1

(1)農業振興基本方針に掲げた目標の達成に向けた取組状況はどうか。

【農林水産部長】

 えひめ農業振興基本方針2016では、農業の成長産業化と農村地域の活性化を両輪に、農業産出額1,200億円の維持を目指すほか、農業に対する負のイメージの払拭や多様な担い手の確保などに向けて、農林水産業体質強化基金も活用しながら、積極的にチャレンジする農政を展開している。
 これまでの主な取組状況としては、生産基盤の整備促進はもとより、「愛媛クィーンスプラッシュ」や「愛媛あかね和牛」などオリジナル産品のブランド化、機能性や地理的表示GIの活用、鳥獣害対策としてのジビエの振興など、生産力や販売力の強化に取り組んでいるほか、順調に増加している「愛顔の農林水産人」や「一次産業女子ネットワーク・さくらひめ」等を活用した本県農業の魅力発信にも努めている。
 また、今回の当初予算案では、JAが行う包括的な新規就農対策や畜産関連施設の整備支援など、担い手対策の充実を図るとともに、「さくらひめ」や「紅い雫」の生産拡大などにも取り組むこととしており、引き続き、市町や関係団体等と連携しながら、生産者の挑戦や努力が報われる「愛顔あふれるえひめ農業・農村の実現」に向けて、本県農業の更なる体質強化に取り組んでまいりたい。


(2)新規就農者数の増加と定着率向上を図るため、新規就農者の効果的な呼び込みと就農後のフォローアップの充実・強化にどのように取り組んでいくのか

【知事】

 農業従事者の大幅な減少と高齢化が進行する中、将来の愛媛農業を支える担い手の確保は極めて重要な課題であり、一人でも多くの新規就農者を確保するためには、次代を担う青少年や移住希望の都市生活者などに、本県農業の魅力を効果的に発信し、就農意欲を喚起していくことが必要と考える。
 このため、県ではこれまで、県内外での就農相談会や就農前後の技術研修、経営開始に必要な農業機械導入や小規模基盤整備等への助成など、掘り起こしから就農・定着に至る幅広い支援に加え、地域で活躍する「愛顔の農林水産人」の紹介や中学校での体験学習に取り組むほか、就農に係る「ワンストップWebサイト」の開設やワーキングホリデーの実施、日本農業遺産認定への取組等みを通じて、本県農業のイメージアップや地域ブランドの向上を図りながら、就農増加につなげるべく情報発信を強化しているところである。
 また、今回新たに、地域農業に最も精通するJA等の主体的な取組みを支援する事業を創設し、受入体制の充実や就農相談、技術研修に加え、就農後も安心して営農に取り組めるよう、農地や住居の斡旋、営農基盤の整備、経営安定までの収入確保など、きめ細かく包括的にサポートしながら、愛媛農業を支える新規就農者の確保に努めて参りたい。


問2 本県への更なる移住を促進し定着を図るため、今後、どのように取組みを強化していくのか。

【企画振興部長】

 本県では、県外からの移住を促進するため、移住コンシェルジュの配置や県単独フェアの開催、市町と連携した住宅改修支援に加え、移住者を企業がサポートする「えひめ暮らし応援隊」の創設など、情報発信から相談対応に始まり、就業・住まいの確保、確実な定着まで一連の施策を総合的に展開しており、今年度12月末までの移住者数は377人と、既に昨年度の274人を上回るなど着実な成果を上げている。
 来年度は新たに、移住者と受入地域が互いに理解を深め、移住後のミスマッチを防ぐため、受入先となる市町や地域と連携し、6泊7日の日程で移住希望者が、豊かな自然・文化・食に直接触れるとともに、農業体験や先輩移住者との交流などを通じて、仕事や住環境を含め具体的な生活イメージを体感してもらう「地域滞在型ツアー」を実施したいと考えており、当初予算案に所要の経費を計上しているところである。
 県としては、今後とも、市町はもとより企業や地域住民と一体となって受入態勢を一層強化しながら、県内紙おむつメーカーと協働で実施する「愛顔の子育て応援事業」など、本県の強みを生かした独自の取組みもアピールし、「オール愛媛」の体制で、戦略的かつきめ細かな移住施策を展開してまいりたい。


問3

(1)えひめ営業本部の本年度の活動実績はどうか。また、部局横断的な取組みを含め、今後どのような営業活動を展開していくのか。

【知事】

 営業本部の昨年12月末時点での県関与成約額は73億2,000万円で、今年度の目標額90億円に対する進捗率は約81%と、目標達成がほぼ確実な状況となっており、オール愛媛体制で意欲的に活動された県内の生産者や事業者、関係団体の取組みの成果であるとともに、今年度中に平成30年度の目標としている100億円、これを前倒しで達成する気概を持って、最後の追い込みに総力を結集したいと考えている。
 今後はフォロー営業に重点を置きながら、名古屋、札幌、仙台などでの販路拡大、海外ではターゲットを絞った活動を展開するとともに、6次産業化、農商工連携支援、試験研究機関による技術開発などを通した「売れる」商品づくりやブランド産品の安定供給体制の構築にも取り組むなど、営業本部の横串機能を発揮した対策を強力に推進したいと思う。
 また、経済情勢の先行き不透明感が増す中で、今後も安定した成果をあげるため、「オール愛媛」体制の強化を図るとともに、海外通販サイトの活用や卸売事業者との営業面での連携など、マンパワーのみに頼らない営業手法の確立を模索するほか、県内事業者等のさらなる意欲を喚起するなど、「補助エンジン」として、「実需の創出」による地域経済の活性化に全力で取り組む所存である。


(2)「さくらひめ」プロジェクトの狙いや事業の実施状況、今後の計画はどうか。

【営業本部長】

 このプロジェクトは、県が開発したご覧の「さくらひめ」の姿や名称が可憐で清々しい女性や日本を連想させ、古事記由来の県名を持つ本県にふさわしい呼称であることから、この良いイメージを活かしたものづくりや販売戦略を展開することで、商品と地域のイメージを共鳴させ、共に価値を高める「地域ブランド」の確立を目指すもの。
 今年度は、航空会社や著名な華道家との連携による花の魅力発信と大手花き販売業者への営業活動などを実施するとともに、ものづくりにおいては、20~40代の女性をターゲットに、愛媛ならではの真珠やタオルなどをベースに花からイメージされる11商品を開発し、首都圏の展示会に「さくらひめ」をコンセプトとしたブースを出展した。
 その結果、バイヤー等からブランドイメージを高く評価されるなど、確かな手ごたえがあったことから、今後は、商品ラインナップの充実、SNSでの情報発信や女性向けイベントへの出展などによるターゲット層への浸透と顧客の獲得に努め、「地域ブランド愛媛」の確立を図ることで実需の創出につなげてまいりたい。


問4 土砂災害から県民の生命を守ることを最優先としたソフト対策の現状や今後の取組みはどうか。

【土木部長】

 県では、広島市の土砂災害を教訓に、住民が早期避難できるよう、まずは、地域の土砂災害の危険性を認識して頂くため、土砂災害警戒区域等の指定に必要な基礎調査を31年度の完了に向け計画的に進めるとともに、危険性を周知するため、昨年度から調査結果を全戸に配付している。
 また、豪雨などの異常気象時において、住民の避難や市町が避難勧告等を発令する際の目安となる土砂災害警戒情報を松山地方気象台と共同で発表し、テレビや県のホームページ等を通じてお知らせするとともに、関係市町へは県から直接情報を伝えている。さらに、避難に時間を要する高齢者などの要配慮者も含めて、住民が円滑かつ迅速に避難できるよう、市町・消防などと共同で避難訓練を継続して実施している。
 29年度は、これまでの調査箇所と合わせ県内約1万5,000箇所の全ての土砂災害危険箇所で基礎調査に着手し、うち約8,000箇所の調査を完了させる他、市町が地区単位での避難勧告等を的確に発令できるよう支援したいと考えている。今後とも、ソフト対策の更なる充実を図るとともに、砂防堰堤などのハード対策も着実に進め、土砂災害に強い県土づくりを目指してまいりたい。


問5 私立幼稚園が質の高い幼児教育を提供していくには、優秀な人材の確保が必要であり、運営費補助金の充実を図るべきと考えるがどうか。

【保健福祉部長】

 幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を築くとともに、健全な発達を促す上で、大きな役割を果たすものであり、本県の幼児教育の中核的な役割を担っている私立幼稚園の安定的な運営と優秀な人材の確保は、質の高い幼児教育を提供する上で、重要な課題と認識している。
 県ではこれまで、保護者の負担軽減等を図るため、私立幼稚園の運営費補助金について、国の補助単価に独自に上乗せ補助を行ってきたところであるが、国では、来年度から、私立幼稚園の教員確保に向けた新たな支援制度を設計しているところであり、県としても、その結果を踏まえ、運営費補助金の充実を図ることとしている。
 なお、現在、国会で継続審議中の「幼児教育振興法案」には、人材の確保や教育の質の向上に向けた施策が盛り込まれており、その動向を注視するとともに、すべての子どもに質の高い幼児教育を受ける機会が保障されるよう、幼児教育無償化の早期実現を、引き続き、全国知事会を通じて強く要望してまいりたい。


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