2018年(平成30年度)9月26日定例県議会議事録

福羅浩一 一般質問、インターネット録画中継

問1 平成30年7月豪雨災害について

(1)応急修理の早期施工に向けて、県はどのように取り組んでいるのか。

【保健福祉部長】

 県では、市町と連携して、被災者に対する応急修理制度の周知や修理に関する情報提供などに努めてきたところであり、災害救助法を適用した県内7市町では、9月20日現在、2,037件の応急修理の申込を受け付けており、特に申込みが多い大洲市及び宇和島市では、他県及び県内他市町職員の応援を得て、早期発注に努めている。
 しかしながら、修理に当たる地元業者が対応できる事業量には限界があるため、業者からの見積書の提出は、申込みの約68%の1,390件、発注は約64%の1,306件に留まっている。県では、早期の業者選定・施工を図るため、県と協定を締結している中小建築業協会を通じ、県下全域で、信頼できる施工業者を募集し、特に被害の大きかった大洲、宇和島、西予の南予3市に紹介するマッチング事業を9月から実施しているところであり、県としては、今後とも、3市における応急修理の重点的な支援に努め、被災者が早期に自宅での日常生活を取り戻すことができるよう全力で取り組んでまいりたい。


(2)避難勧告・指示の伝達方法と発令時期はどうであったか。また、効果的な避難につなげるため、住民の意識啓発も含め、どのように取り組むのか。

【防災安全統括部長】

 今回の豪雨災害において、市町は避難勧告や避難指示を、防災行政無線の屋外型スピーカーや戸別受信機、消防団等による戸別訪問で呼びかけたほか、緊急速報メール、コミュニティFMやCATVなど、多種多様な情報ツールで住民に伝達している。集中豪雨となった7月6日から7日の避難勧告・指示の発令時期は、被害が大きい宇和島、西予、大洲、松山、今治の5市では、6日夜のはじめ頃から7日朝で、未明や明け方にも発令されたところ。
 こうした伝達方法や発令時期については、報道等でもその効果やタイミングなど様々な課題が指摘されていることは県としても認識しているが、一方で、防災行政無線の戸別受信機による呼びかけや、自主防災組織等による早めの避難誘導で人命が守られた事例もあり、今後、関係者や専門家の意見を聴いてソフト、ハード両面から幅広く分析・検証を行い、得られた教訓を基に避難情報の伝達や発令方法について検討してまいりたい。
 また、住民が、速やかに適切な避難行動を起こせるよう、住民への防災意識啓発講演、自主防災組織の活動支援やその核となる防災士の養成などにより自助・共助の取組を一層促進し、効果的な避難につなげてまいりたい。


問2 行革甲子園2018の成果を踏まえ、県内市町における行革推進を今後どのように支援していくのか。

【知事】

 行革甲子園は、削減ありきの暗いイメージの行革を明るく前向きに捉え、各自治体で懸命に創意工夫を重ねてきたノウハウを広く共有・活用することで、行革を通じたより良い地域づくりに結びつける取組みとして全国に発信し、定着してきたと、大きな手ごたえを感じている。
 今回の行革甲子園では、応募141件中、AIやIoTなどの活用事例が多く、当日の発表でも、ICTや定型的業務を自動化するロボティック・プロセス・オートメーションを活用した先進事例が紹介されるなど、限りある人的資源の中で、時代を先取りした斬新な発想や技術を果敢に取り入れ、行政のイノベーションを図ることが重要であることを再認識した。また、特別企画として発表いただいた台湾・台北市の事例により、これまでとは違った発想に触れ、行革の種に新たな視点を加えることができたと考えている。
 県としては、自治体の様々な行革事例が他の地域にも共有・活用され、更に磨きをかけることは、限られた資源で行政サービスを提供していくためには極めて有効と考えており、引き続き行革甲子園の開催等を通じて、全国の優良事例の収集やノウハウの吸収、情報提供に努めるとともに、優良事例の横展開や自治体間の連携・共同化を促進するなど、行革先進県愛媛を確固たるものにできるよう、県内市町における行革推進を積極的に支援して参りたい。


問3 福井国体における本県の成績の見通しはどうか。

【スポーツ・文化部長】

 今年の福井国体における本県の目標については、岩手県が国体開催の翌年にえひめ国体で残した成績14位を上回る13位に設定し、選手強化等に対する支援を継続するなど、将来に亘って全国上位の成績を残せるよう努めており、8月のインターハイにおいても過去最高の58件で入賞を果たすなど、ジュニア世代も確実に力を付けてきている。
 福井国体については、今月9日から開催された会期前競技において、ビーチバレー男子が国体2連覇、ハンドボール少年女子が4位入賞など嬉しい結果も届いているが、一方で「えひめ国体までは現役で」と頑張ってくれていた選手が引退するなど、世代交代の時期にある競技も多く、また、福井国体での活躍を期待していた競技が四国ブロック予選で思わぬ敗退をするなどの取りこぼしもあった。
 13位という目標達成には、今週末から開幕する福井国体本番での選手達の頑張りが必要であるが、選手たちは「活躍する姿をお見せすることで、豪雨災害で被災された方々や県民の皆さんに元気を届けたい」との強い気持ちを持ってくれており、現在、万全の状態で競技に臨むべく最終調整をしているところである。県民の皆様方には617名の本県選手団が持てる力を十二分に発揮できるよう、えひめ国体の時と同様に熱いエールを送っていただきたい。


問4 チェジュ航空の運航開始から現在までの経済効果や利用客の路線に対する評価はどうか。また、今後増便分も含めて路線を維持するためにどう取り組むのか。

【知事】

 ソウル線の経済効果は、就航前に民間シンクタンクが週3往復・搭乗率80%の条件で年間約6億9千万円と試算していたが、今年6月までの平均搭乗率が90%を超え、7・8月の増便もあり、試算を上回る経済効果が見込まれる。この路線は、割安な料金設定に加え、“都会から地方都市”という韓国の訪日旅行のトレンドを追い風に、特に韓国人観光客から高い評価を得ており、旅行後のアンケートでは9割以上の方から再度訪問したいとの回答を頂いている。
 今後県では、増便後の安定運航を支援するため、本県の最新の観光・グルメ情報を、チェジュ航空会員向けメルマガ等で発信するとともに、韓国テレビ番組や観光施設等特典紹介サイトの制作等を通じて、冬場の更なる需要の掘起こしや南予地域等への周遊促進を図るほか、アウトバウンド比率4割を目標に、若者のパスポート取得を後押しする「初めての海外旅行応援キャンペーン」の対象年齢を引下げたほか、SNS等でのプロモーション強化による家族旅行・卒業旅行での利用拡大、韓国進出企業等へのビジネス利用の働きかけ強化に取り組む予定。
 引き続き、チェジュ航空との関係を密にし、情報共有や協議を定期的に行うとともに、新規利用者やリピーターの掘起し等に継続的に取り組み、路線維持に努めて参りたい。


問5 県内小中学校のエアコン設置状況について、県はどのように考えているのか。また、市町の設置促進に向けて今後どのように取り組んでいくのか。

【教育長】

 県内公立小中学校のエアコンの設置については、学校設置・管理者である各市町が立地条件や周辺環境など地域の実情に応じて整備を進めているが、平成29年4月の普通教室における設置率は5.9%、全国で41位に止まっている。これは、各市町において、これまで耐震化に最優先で取り組んできたことや、エアコン設置には大きな財政負担を要することなどが主な要因であると考えている。
 こうした中、松山市、上島町、伊方町、松野町においては、今年度末までにすべての小中学校の普通教室にエアコンの設置を完了する予定であるなど、記録的な猛暑といった近年の厳しい気象条件を踏まえ、各市町において計画的な整備に向けた動きが加速しており、今年9月時点の普通教室の設置率は34.1%、年度末には40%を超える見込みである。
 県教育委員会としては、児童生徒の健康への配慮や快適な学習環境の確保の観点から、学校のエアコンの設置促進は喫緊の課題と認識している。国においても、小中学校のエアコン設置に対する財政的支援を拡充する動きもあることから、その動向を十分注視しながら、各市町への訪問や市町間での情報交換の場の設定などにより、設置状況の把握・提供に努め、着実かつ速やかな整備を積極的に働きかけてまいりたい。


2017年(平成29年度)11月30日定例県議会議事録

福羅浩一 一般質問、インターネット録画中継

問1 今治市の大学獣医学部について

(1)今治市への支援額と妥当性についてどのように考えているのか。

【企画振興部長】

 今回の今治市における獣医学部の新設については、文部科学大臣の諮問機関である大学設置・学校法人審議会において、教育課程や組織、校舎等に関する大学設置基準をはじめ、財政計画や管理運営に関する私立学校法への適合性などについて、約8か月にわたり専門的見地から厳正な審査を経て、責任感を持って認可されたものと認識している。
 また、今治市は、事業の妥当性や安全性を検証するため、大学教授や建築士、弁護士、公認会計士からなる第三者委員会を設置し、県もオブザーバーとして参画して、校舎建設や設備など整備事業費の精査はもとより、細菌等を扱う実験施設の安全性や経済波及効果の妥当性、補助金交付決定や土地無償譲渡の手続きの適法性に加え、大学の財務状況や市の財政見通しに至るまで、事業全般において、年内を目途に結論を出す方向で、適正かつ客観的な審査が行われているところ。
 県としては、今回の獣医学部誘致が、公務員獣医師の安定確保はもとより、若者の地元定着や産業振興に繋がる画期的な地方創生プロジェクトと認識しており、今治市の第三者委員会の審査結果を受けて、関係部局の専門的知見も生かしながら、事業費の妥当性を十分精査した上で、支援額の検討を進めて参りたい。


(2)県職員獣医師の処遇改善にどのように取り組んでいくのか。

【総務部長】

 本県獣医師職員については、近年、採用試験において受験者が採用予定数に満たない年もあるなど、人員確保に苦慮している状況にあり、これまでも、人事委員会報告を踏まえ、獣医師職員に対する初任給調整手当を創設するなど、人材確保の観点から処遇改善に努めてきたところである。
 本年の人事委員会報告において、初任給調整手当については、獣医師職員の職務の専門性や困難性の増大などにより、更なる人材確保対策のため、手当額を引き上げるよう言及されたことから、他の都道府県の状況を踏まえ、採用初年度で手当額を月額約3万円から5万円に、また、支給期間を10年から15年とするなど、在職者も含めた処遇改善を実施する条例改正案を今議会に提案している。
 今回の獣医学部の開設については、将来的に、受験者の増加に繋がるものと期待しており、引き続き、全国獣医系大学への働きかけのほか公衆衛生や畜産分野におけるインターンシップ生の受け入れに取り組むとともに、人材確保の観点からの処遇改善について、人事委員会勧告等を踏まえて適切に対応して参りたい。


(3)獣医学部に関連した各種研究機関や製薬会社、食品関連会社等の誘致について、どのように考え、今治市と連携してどのように取り組んでいくのか。

【経済労働部長】

 獣医学部の新設は、慢性的に不足している公務員獣医師の安定確保や、学生や教員などの大学関係者の定住による経済波及効果のほか、新薬の開発等を行う先端ライフサイエンス企業等の県内集積や、本県ブランド畜産物の開発など、本県産業の振興につながることも期待されるところ。
 県では、特に、世界的に発展著しく、市場規模の大きい、医薬品や食品等を対象とするライフサイエンス産業は長期的に成長可能性の高い有望分野であると認識し、これまでも企業誘致のターゲットに位置付けてきたところであるが、獣医学部の新設により、ライフサイエンス産業の開発・研究の現場で活躍が見込まれる獣医療の専門知識と技術を持った人材供給が可能となることから、本県の強みとして優位性を持つことになると期待しているところ。
 既に今治市においても、ライフサイエンス関連産業の誘致に取り組む方針と聞いており、県としても、獣医学部新設を契機に、同市と緊密に連携して、卒業生の地元定着や、本県産業の振興、地域活性化につながるような企業や研究機関等の誘致に努力して参りたい。


問2 県立高校において、国際的に活躍できる能力・資質を持った人材の育成にどのように取り組んでいるのか。

【教育長】

 県内企業をはじめ我が国産業が、優れた技術力や品質を活かして激化する国際競争に打ち勝つためには、国際的に活躍できる担い手が不可欠であり、県立高校においても、日本人としてのアイデンティティと国際感覚を備え、英語によるコミュニケーション能力を発揮しながら、主体的に行動できるグローバル人材を育成することが重要と認識している。
 このため、県教育委員会では、スーパーグローバルハイスクールに指定された松山東高校や宇和島南中等教育学校をはじめ、今治北高校や西条高校等で、海外フィールドワークやスタディツアーの実施などにより、国際感覚の涵養に努めるほか、海外への留学や修学旅行の促進、台湾の学校との姉妹校提携や海外高校生の日本語スピーチコンテスト開催等による異文化の理解促進にも力を入れている。
 さらに、民間の語学検定試験の受験支援や英語教育推進校でのオンライン英会話学習の導入など実践的な英語能力向上に向けた特別対策事業等も積極的に推進しており、今後とも、本県高校生が、地域や日本に根差した国際的視野を持つ人材として、ふるさと愛媛と日本の発展に貢献できるよう、総合的な取組みを展開してまいりたい。


問3 えひめ結婚支援センターのこれまでの運営実績はどうか。また、今後どのような取組みを進めていくのか。

【知事】

 えひめ結婚支援センターでは、ビッグデータやITの活用と、ボランティアによるきめ細かなフォローアップを組み合わせた「愛媛方式」と呼ばれる独自のマッチングに加え、幅広い企業・団体の協力のもと、年間約240回に上る多彩な婚活イベントを展開し、センター開設後9年間で成立したカップルは11,826組、結婚報告は850組に達するなど、全国トップクラスの成果を上げており、各自治体からの視察が相次ぐほか、四国3県をはじめ13県でも同システムの導入が行われるなど、多方面から高い評価を得ているところ。
特に、今年度は、初めての取組みとして、20歳代の若手社会人を中心に、職域や業種の枠を超えた出会いの場を提供するため、先般、大規模な異業種交流イベントを開催し、県内36の企業・団体から約500名の参加を得たところであり、今後は、イベントの企画・運営を担った参加企業等の職員がリーダーとなり、少人数グループでの交流を継続することとしており、このような主体的な取組みが、結婚に向けた自然な流れにつながることを期待している。
 さらに、現在8市に設置している「愛結びコーナー」を、来年1月には12市町に拡充し、県内各地域で利用できるようにするほか、新たに、松山市内中心部にサテライトセンターを開設し、イベントや各種セミナーに関する情報発信に加え、若者の交流の場としての機能の強化を図ることとしており、今後とも、結婚支援センターを核に、市町や企業、団体等との連携のもと、様々な出会いの機会を提供することにより、若い世代はもとより、結婚を希望する方々の思いが実現できるよう、支援に取り組んで参りたい。


問4 今回の台風18号を含め、本県における近年の公共土木施設の被害状況はどうか。また、災害復旧対策にどのように取り組んでいくのか。

【土木部長】

 本県では、過去10年間の平均で229箇所、約21億円の公共土木施設の被害が発生しているが、今年は、その中で最大となる561箇所、約65億円にのぼっており、台風18号による被害が約8割を占めている。
 これらの復旧にあたっては、災害復旧制度を活用し、国の災害査定を受けて工事を実施するが、河川堤防が決壊した場合など、緊急な対応が必要な箇所では、査定を待たずに、発災直後から応急工事に着手している。
 また、大規模な災害の発生時にも迅速に対応できるよう、被災状況を調査するドローンの配備や、復旧工法の選定を支援する「公共土木施設応急復旧ガイドライン」を策定したほか、県や市町職員、さらには現場で復旧にあたる建設業者等を対象とした技術講習会の開催や、被災地の人員不足を補う災害応援チームの事前編成など、復旧のための体制を強化してきたところである。
 今後とも、災害を未然に防止するための防災・減災対策を着実に進めることはもとより、災害が発生した場合には、国や市町、関係団体と連携を図り、公共土木施設の早期復旧に努めて参りたい。


問5 えひめ国体・えひめ大会を終え、愛媛らしさあふれるおもてなしの成果をどう受け止めているのか。

【知事】

 えひめ国体・えひめ大会では、県内外から延べ79万人の参加をいただいた。期間中は松山空港やJR松山駅に総合案内所を設置し、来県者への情報提供や県産品のPR等を行ったほか、県内の大半の小中高校で「歓迎のぼり」や「装飾用の花」を作成、延べ8千人の小・中学生が都道府県応援団として開閉会式を盛り上げ、2万人近い県民の皆様にはボランティアとして活躍いただくなど、県民総参加の国体・大会となった。
 また、愛媛らしさ満載のおもてなしを実施するため、県総合運動公園に「みきゃん広場」を設置し、期間中約15万人と、昨年の岩手13万人、一昨年の和歌山8万人を大きく上回る人出で賑わったほか、各競技会場でも市町が主体となって地域色溢れる「おもてなし広場」を開設するなど、県産食材や物産、観光資源等をPRした。
 各競技会場では、多くの県民や5万人近い小・中学生が選手たちを応援、1700人の選手団サポートボランティアが選手たちと終始行動を共にするなど、各地で「愛顔」の触れ合いが見られた。さらに、5年ぶりの実施となった4市町での民泊においては、選手と地元住民が家族のように交流を深め合う光景も数多くあったと聞いている。愛媛ならではの「おもてなし」を実感していただけたことで、多くの愛媛ファン獲得や魅力発信につながるとともに、参加されたすべての方々の心に深く刻まれた国体・大会になったと思う。

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